研究実績の概要 |
維持期統合失調症に対して抗精神病薬持効性注射薬は経口抗精神病薬より再発率を下げることが示されている。また、それらの治療を中断したとしても、中止前に抗精神病薬持効性注射薬を使用していた患者の方が経口抗精神病薬を使用していた患者より再発するまでに時間的猶予があることも知られている。そこで、私たちは、維持期双極症患者であっても、中止前の剤型の違いがその後の再発率に影響を与えるのではないかという仮説を立て、系統的レビューを行った。統合失調症と同じように、双極症患者に対しても、それらの治療を中断したとしても、中止前に抗精神病薬持効性注射薬を使用していた患者の方が経口抗精神病薬を使用していた患者より再発するまでに時間的猶予があることが分かった。これらの研究結果は、薬剤の違いのみならず剤型の違いにも着目した治療戦略が必要であることを示唆しており、今後、診療ガイドラインなど、治療の均てん化を図るツールへの反映が望まれる。 A comparison of recurrence rates after discontinuation of second-generation antipsychotic long-acting injectable versus corresponding oral antipsychotic in the maintenance treatment of bipolar disorder: A systematic review. Kishi T, Citrome L, Sakuma K, Iwata N. Psychiatry Res. 2024 Mar;333:115761.
|