研究課題/領域番号 |
19K08087
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター) |
研究代表者 |
松永 秀典 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター), 精神科, 医師 (70603843)
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研究分担者 |
福森 亮雄 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00788185)
多田 敬典 至学館大学, 健康科学部, 教授 (20464993)
田中 惠子 新潟大学, 脳研究所, 非常勤講師 (30217020)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗NMDA受容体抗体 / ウサギ網赤血球由来蛋白合成システム / コムギ胚芽由来蛋白合成システム / ラジオリガンドアッセイ / 膜蛋白 / cell based assay / 自己免疫性脳炎 / 精神疾患 |
研究実績の概要 |
抗NMDA受容体抗体測定に使われているcell-based assayは手間と時間がかかることから、本研究では、多検体を同時に測定できる検査法を開発し、これを用いて多くの検体を測定し解析することをめざした。まず、ウサギ網赤血球ライセート由来の蛋白合成系に膜成分を加えてNMDA受容体蛋白を合成し抗体測定を試みたが、抗NMDA受容体脳炎患者の血清および髄液から抗体を検出できなかった。 このため、コムギ胚芽由来蛋白合成系で受容体蛋白の合成を行ったが、バックグラウンドが高く、陽性検体と陰性検体を区別できなかった。同じコムギ胚芽由来の系でSS結合を阻害しない蛋白合成キットでも試みたが、やはり抗体測定は困難であった。 ラジオリガンドアッセイがうまく機能している抗体測定系は、抗原がアミノ酸数200~400の非膜蛋白であること、および、病原性のある抗NMDA受容体抗体の抗原決定基が、NMDA受容体のNR1サブユニットの細胞外部分に存在することから、膜を使わず、抗原決定基を含む細胞外部分(アミノ酸番号1~383)を合成して抗体測定を試みたが、やはり自己抗体の検出は困難であった。 他方、培養細胞を用いたcell-based assayを研究分担者福森のもとで行い、患者髄液で本抗体を明確に検出した。このことから、病原性のある抗NMDA受容体抗体の検出には受容体の立体構造が不可欠であるが、NMDA受容体は分子量の大きなサブユニット4つから成る膜蛋白であり、無細胞蛋白合成系でこれを再現することは難しいと考えられた。 本年度は、分子量が小さく多量体を形成しないドパミンD2受容体(アミノ酸数433)に対する抗体測定を試みた。膜成分を加えて蛋白合成し、精神疾患の96検体に対して測定したところ、値は大きくはないが明らかに高値をとる検体が散見された。この測定方法の妥当性とその意義についてはさらに検討を要する。
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