研究課題
過去の頭頸部放射線治療患者の皮膚線量および皮膚炎発症のデータを用いて、皮膚炎発症予測に最適な皮膚のROI(region of interest)の設定方法を定めた。最終的に皮膚表面から3mmまでの深さをROIとして定める方法において、皮膚炎発症の予測能が最も高かった。このROI設定方法にて、皮膚線量から皮膚炎発症率を予測するNTCP(Normal Tissue Complication Probability)モデル作成を行った。実際にスポットスキャニングIMPTにおいて、局所的な皮膚線量を低減するプランニングを実施した。耳下腺線量を従来のX線によるIMRTよりも低減させるプランニングを行った。障害発生予測モデルを用いて、IMRTよりもスポットスキャニングIMPTにおいて口渇の発生率が低くなることを客観的に示す方法論を確立した。舌においても同様に、従来のX線によるIMRTよりも低減させるプランニングを行い、障害発生予測モデルを用いて、IMRTよりもスポットスキャニングIMPTにおいて味覚障害の発生率が低くなることを客観的に示す方法論を確立した。これら障害予測モデルによる比較は臨床において応用可能と判断され、実臨床での頭頸部キャンサーボードにて使用を開始している。粘膜線量低減に関して、異なったPRV(planning organ at risk volume) marginを設定する際の基本的な方法論を決定した。放射線治療の際の照合中心から近い部位と遠い部位において異なったPRV marginを設定する方法を採用した。2019年度に引き続き、患者が感じる「辛さ」を客観的に把握するためのQOL調査を継続している。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ当初の予定通り研究が進んでおり、おおむね順調と判断した。
2021年度は、主にQOL調査とその放射線治療計画における線量分布を比較、解析することがメインとなる。臓器を細かく設定し、QOL調査と臓器線量の関係性を検討する。
その時点において研究に最適な物品を購入したため計画との差異が生じて、6万円程次年度使用額が生じた。翌年度はこの額も併せて物品購入等で使用する計画である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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