研究課題/領域番号 |
19K08090
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 昭喜 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (80148874)
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研究分担者 |
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 特任教授 (10447162)
麦倉 俊司 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (20375017)
森 悦朗 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 寄附講座教授 (30368477)
森 菜緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (90535064)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 交通外傷 / 高次脳機能障害 |
研究実績の概要 |
交通事故後の高次脳機能障害は,事故の強い外力により脳の軸索(神経線維)が広い範囲で断裂すること(びまん性軸索損傷)によっておこる後遺障害であり,自賠責により認定される.理学所見は乏しく,障害を持っていることが外見上分かりにくいため,数年後(慢性期)まで気づかれないことも多い.急性期に画像診断を受けずに,慢性期になってしまうと,高次脳機能障害の認定は困難になる.なぜなら,びまん性軸索損傷は事故後,急性期にはMRIで異常所見が認められても,慢性期には認められなくなる.しかしながら自賠責認定は,認定の条件として,「画像で異常所見が認められる」ことを求めているのである.日本での軽症頭部外傷患者は年間70万人以上とされ,自賠責認定が問題となり訴訟も増加傾向である.国土交通省は,現状では多くの被害者が認定されていないことをみとめ,被害者救済のために慢性期に検出率の高い画像診断法の確立を求めているが,実現はしていない.びまん性軸索損傷の画像診断は急性期には従来のMRI(T2強調画像,拡散強調画像など)で可能であるが,従来法では慢性期には検出率が低いのが現状である.近年,Advanced MRIとして軸索損傷に伴う出血を検出する磁化率強調像と軸索損傷に伴う軸索密度低下を検出する軸索画像が開発された.特に軸索画像は,従来,一定の方向に向かって連続する神経線維を画像化したものとして用いられてきた拡散テンソル画像から得られる異方性のみを示すパラメータに比べ,軸索の方向散乱の程度(散らばり)や軸索密度(詰まり具合),脳脊髄液の拡散の程度を定量化できることが特徴である.我々は,慢性期のびまん性軸索損傷診断のために,Advanced MRIの定量方法を確立し,Advanced MRIを用いた病変の検出時期,検出能について明らかにし,事故との因果関係の検証を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交通事故後の患者の追跡と,MRI画像の取得に時間を要し,研究遂行がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
交通事故後慢性期に高次脳機能障害を有する症例のリクルートとadvanced MRIの撮像を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
交通事故後慢性期に高次脳機能障害のある症例のリクルートに時間を要し,次年度使用額が生じた.
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