研究課題/領域番号 |
19K08091
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
大野 達也 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10344061)
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研究分担者 |
尾池 貴洋 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (10643471)
花岡 宏史 関西医科大学, 医学部, 教授 (50361390)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Cu-ATSM / 炭素イオン線 / 画像誘導放射線治療 |
研究実績の概要 |
本学に設置されたサイクロトロンを用いて64Cu-ATSMを作製した。細胞株を37 KBq/mlに調整した64Cu-ATSM培地に30分暴露後、細胞をPBSで洗浄・NaOH溶液で溶解し、溶解液の放射能をgamma counterで測定した。また、コロニー形成法により10株の正常酸素境下におけるX線および炭素イオン線感受性(SF2、SF4、D10、 D50)をそれぞれ評価した。細胞株はA549、H1299、H1703、PC9、Ma24、H1650、PC3、HCT15,FaDu、U2OSを用いた。その結果、炭素イオン線の生物学的効果比(relative biological effectiveness: RBE)と64Cu-ATSM取り込みに有意な正の相関が認められた。 上記細胞群から代表的表現型を呈した2細胞株を選出し、ヌードマウス腫瘍移植片モデルでX線・炭素イオン線感受性ならびに64Cu-ATSM取り込みを調査した。結果、RBEと64Cu-ATSM取り込みとの関連が支持された。RBEと64Cu-ATSM取り込みの関連が培養細胞実験系、動物モデルの両者で示唆されたため、その分子機序を探索した。X線と炭素イオン線ではDNA損傷の直接効果・間接効果の寄与度が異なる(X線、炭素イオン線においてそれぞれ後者、前者が優位である)こと、ならびに正常酸素下における64Cu-ATSM取り込みは細胞の過還元状態を反映することから、細胞の抗酸化能に着目して研究を進めたところ、高RBE・64Cu-ATSM株は低RBE・64Cu-ATSM株と比較してsteady-state、X線照射後の両者において抗酸化関連経路の活性が有意に高いことを見出した。以上の結果から、がん細胞の抗酸化能は炭素イオン線RBEに寄与すること、ならびに64Cu-ATSM取り込みは同機序を反映した高RBE腫瘍の診断バイオマーカー候補であることが示唆された。
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