研究課題/領域番号 |
19K08097
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原田 文 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50610284)
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研究分担者 |
石原 武明 神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (10546477)
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
宮脇 大輔 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (30546502)
犬伏 祥子 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (60585959)
窪田 光 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60824208)
西村 英輝 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (80444610)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エクソソーム / 免疫放射線療法 / PD-L1 |
研究実績の概要 |
切除不能局所進行非小細胞肺癌は根治的同時化学放射線療法後に免疫チェックポイント阻害剤(抗PDL1抗体;Durvalumab)を逐次投与することで画期的な治療効果が得られることが最近報告された。しかし、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果に関してどのようなコホートにより有効かを探求する必要性がある。治療に反応して血液中に放出されるエクソソームとその膜上に発現しうるPDL1に関して実際の臨床症例を用いて解析し、新規治療戦略を提案する。本研究の目的はリキッドバイオプシーにより化学放射線療法後のNSCLCに対する免疫チェックポイント阻害の新規バイオマーカーを開発することである。特に、本研究ではリキッドバイオプシーの解析においてエクソソームに着目している点が先端的である。エクソソームとは細胞からエンドサイトーシスを介して分泌される約100nmの細胞外小胞体である。細胞間情報伝達などを司どり、がんの進展や増殖にも関与するといわれている。最近では腫瘍由来のエクソソームにPDL1が発現しているという報告もある(Nature. 2018;560:382-6)が、放射線治療後の非小細胞肺癌においてもエクソソームに発現したPDL1を解析することを提案している研究は見当たらず、独創性が高い。エクソソーム膜上のPDL1診断は、実現可能性が高く、波及効果の大きい新たなリキッドバイオプシーの誕生と言える。その中で、腫瘍由来エクソソームにおけるPDL1発現確認:切除不能局所進行NSCLCの患者より採血検体10mlを入手し、腫瘍由来エクソソームの解析を行う。神戸大学放射線腫瘍学講座では血液検体からのエクソソームの採取する手法を確立しており、その手法を踏襲する。また、化学放射線治療前の非小細胞癌生検検体における生検検体と腫瘍由来エクソソームにおけるPDL1発現量の関連性検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学放射線療法後の非小細胞肺癌に対する免疫チェックポイント阻害の新規バイオマーカーを開発することが目的でエクソソームにおけるPD-L1の発現を確認することを予定しているが、現在ほぼ予定通り、症例とサンプルの収集が実施できており、今後はその解析を予定している。経時的なエキソソーム上におけるPD-L1に変化が認められれば、新たなリキッドバイオプシーの手法が提案できる。さらに腫瘍からの生検サンプルとの対比により、免疫療法のより良い対象となる症例群の抽出に寄与すると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、集積したサンプルの解析を中心に実施する予定であり、化学放射線治療前の非小細胞癌生検検体における生検検体と腫瘍由来エクソソームにおけるPDL1発現量の関連性検討を行う。さらに化学放射線治療後の腫瘍由来エクソソームにおけるPDL1発現量の検討を実施する。NSCLCに対して化学放射線療法を施行後の患者より採血検体10mlを入手し、腫瘍由来エクソソームの解析を行う。その後、臨床的治療効果との関連性の検討:NSCLCに対して根治的化学放射線療法を施行する全症例を対象とし、逐次投与する抗PDL1抗体の治療効果を前向きに観察する。最終的には、化学放射線療法後の腫瘍由来エクソソームにおけるPDL1発現量が、抗PDL1抗体の逐次投与に関して有効性の指標として利用可能であるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症に対する施設利用制限やルールの変更、及び研究補助者の出勤停止などが重なり、研究を計画通りに遂行する事が困難であった。
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