研究課題
これまで、MRIを用いて腫瘍内アポトーシス発現を定量的に評価する新しい分子画像解析の方法を、新開発したバイオファントムによる三次元細胞培養と細胞を任意の状態に変化させる分子生物技術を併用して、臨床用MR装置を用いて開発してきた。今回の研究の目的は、これまでの基礎研究の成果を、3段階で臨床試験に移行する。第一段階では、病院の画像サーバーから処理前画像を取り込み、画像解析処理して目的画像を自動生成し、画像サーバーに処理画像を登録できる性能をもつ、臨床試験用のMRI画像処理ソフトウェア(アポトーシス高感度定量解析モジュール)を作製する。第二段階では、このソフトウェアの性能をバイオファントムを用いて基礎実験にて性能評価する。最終の第3段階では、少数例のボランティアと患者に対して、開発したソフトウェアを用いて、臨床における新規アポトーシス検出画像の有用性を評価する臨床試験を行う。2019(平成31、令和1)年度 (第一段階) には、臨床試験の申請を行い、それに基づき、病院の1.5Tと3Tの臨床MR装置用の画像サーバーから処理前の臨床画像を取り込み、すでに開発したアポトーシス定量のための画像解析処理により目的画像(ASM画像)を自動生成し、画像サーバーに処理画像を登録できる性能をもつ、臨床試験用のMRI画像処理ソフトウェア(アポトーシス高感度定量解析モジュール)を作製し、その画像の今後の臨床試験にむけた画質とノイズに関して評価した。これらの進展に関して、論文1編、学会報告1回を行った。
2: おおむね順調に進展している
今年度は、すでに開発したMRI拡散強調画像をベースとした3T MR装置用のアポトーシス定量撮像法(ASM画像撮像法)を、3Tのみでなく1.5T用のMR装置用の臨床試験用のMRI画像処理ソフトウェア(アポトーシス高感度定量解析モジュール)に改良して、新規開発した。今後の新たな解析手法を加えた実験継続の準備が進んでいることから、おおむね順調に進展しているといえる。これらの進展に関して、論文1編、学会報告1回を行った。
ソフトウェアの性能をさらに改善するため、開発したソフトウェアが作成した画像に対する画像処理用フィルタを新規開発、評価する。また、今回開発したASMと類似した画像を作成可能なDKI法によるMK画像との類似性と差異を臨床画像を用いて検討予定である。また、報告済みのASM画像作成方法を再度検証し、その改造の有用性に関する基礎研究も進める。さらに、基礎研究の推進のためにASM画像評価用ファントムを開発し、その性能についても検討予定である。そのための臨床試験の申請を行い、開発したDKIによるMK画像作成したソフトウェアについて、性能評価と臨床的有用性を検討する。
購入予定であったソフトウェアが、バージョンアップを予定しており、バージョンアップ後に購入する予定に変更したため、および、外国への出張が感染症により困難となったため。ソフトウェアは、次年度以降に購入予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Molecular Medicine Reports
巻: 20 ページ: 2963-2969
10.3892/mmr.2019.10523