研究課題/領域番号 |
19K08099
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山本 由佳 香川大学, 医学部, 准教授 (30335872)
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研究分担者 |
久冨 信之 香川大学, 医学部, 准教授 (20552045)
西山 佳宏 香川大学, 医学部, 教授 (50263900)
豊原 潤 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (50425659)
畠山 哲宗 香川大学, 医学部, 助教 (90602805)
則兼 敬志 香川大学, 医学部, 助教 (90623223)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳腫瘍 / PET / 増殖能評価 / 低酸素環境 / テクスチャー解析 |
研究実績の概要 |
低酸素イメージング用薬剤である18F-fluoromisonidazole(FMISO)を用いたPET検査は腫瘍内低酸素状態を非侵襲的に評価することが出来る。悪性腫瘍における低酸素環境は癌細胞の増殖分化および転移・浸潤を助長するとされ、悪性度評価に有用である。また、低酸素環境は化学放射線療法において治療抵抗性を示す一つの要因と考えられており、治療効果予測におけるバイオマーカーとしての役割も期待される。従来の半定量的指標とテクスチャ解析指標を併用することで、悪性度、遺伝子変異予測、予後予測、治療薬の反応性などの判断の向上ができるか否かを明らかにする。 まず、腫瘍組織の低酸素状態を評価できるF-18 FMISO PETを高悪性度脳腫瘍患者38名に実施した。脳腫瘍の遺伝子変異の一つであるIDH変異の有無を病理学的に評価した。PETの評価として、腫瘍部分のSUVを測定した。また、テクスチャ解析による6種類のパラメータ(homogeneity, entropy, short-run emphasis (SRE), long-run emphasis (LRE), low-gray-level-zone emphasis (LGZE), high-gray-level-zone emphasis (HGZE)) を測定した。その結果では高悪性度脳腫瘍は全例陽性描画された。IDH変異の有無は、IDH-mutantが14例、IDH-wildが24例であった。IDH変異の有無との関係では、SUVはIDH-wildでIDH-mutantと比べ有意に高値を示した(p<0.02)。また、テクスチャ解析では6種類のうち5種類のパラメータ(homogeneity (p<0.02), SRE (p<0.003), LRE (p<0.002), HGZE (p<0.03), LGZE (p<0.02))でIDH-wildとIDH-mutantの間に有意差をみとめた。 従って、F-18 FMISO PETのテクスチャ解析から求められる指標は、IDH変異の有無の評価において有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である低酸素状態を評価できるF-18 FMISO PETを脳腫瘍患者に実施できており、またテクスチャ解析を応用できている。細胞増殖能を評価できるF-18 FLT PET検査も実施できている。しかし、低悪性度脳腫瘍が疑われる症例でもPET検査が実施できたが、病理学的検討が困難な症例がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は脳腫瘍患者にF-18 FMISO PET検査が実施できた。細胞増殖能を評価できるF-18 FLT PET検査も実施できている。今年度と同様に、IDHなどの遺伝子変異の有無、悪性度評価における有用性を検討していく予定である。さらに、治療効果判定など予後評価における有用性も併せて検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会出張が取りやめになったため (使用計画) 学会出張費に充てる
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