研究課題/領域番号 |
19K08109
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
玉田 勉 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40278932)
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研究分担者 |
宮地 禎幸 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294463)
山本 亮 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30319959)
鹿股 直樹 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 部長 (60263373)
曽根 照喜 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90179383)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 前立腺マルチパラメトリックMRI / 前立腺生検 / MRIガイド下生検 / PI-RADS |
研究実績の概要 |
高PSA血症例に対してマルチパラメトリックMRIを施行し、Prostate Imaging Reporting and Data System(PI-RADS)の診断基準にしたがって前立腺癌が疑われる病変に対してMRI‐US融合画像ガイド下前立腺標的生検を施行している。また従来の系統的生検も施行しMRIで検出できない前立腺癌の検出も可能にしている。前立腺有意癌の検出に優れるマルチパラメトリックMRIを用いた生検であるため従来の生検に比して前立腺有意癌の検出能が高く、適切に治療方針が立てられていると予想される。また従来の系統的生検に比して生検に伴う合併症は遜色なく安全に施行されている。今年度は、そのPI-RADSの最新version(v2.1)を用いた前立腺有意癌の検出能を従来のマルチパラメトリックMRI(T2強調像、拡散強調像、ダイナミック造影)とダイナミック造影を省略したバイパラメトリックMRIの両者で比較した。対象は103症例で、MRI‐US融合画像ガイド下前立腺標的生検から得られる病理診断をこの研究の参照基準とした。その結果、PI-RADS v2.1を用いた前立腺有意癌の検出において、バイパラメトリックMRIの評価者間の再現性と診断精度はマルチパラメトリックMRIのそれらと同等であった。この研究成果を国際誌に投稿しアクセプトされた。近年その有用性が報告されているバイパラメトリックMRIの前立腺有意癌の診断精度研究において、MRIのPI-RADS v2.1を診断基準として、MRI‐US融合画像ガイド下前立腺標的生検を病理診断のゴールドスタンダードとした世界で初めての研究成果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高PSA血症例に対してマルチパラメトリックMRIを施行し、Prostate Imaging Reporting and Data System(PI-RADS)の診断基準にしたがって前立腺癌が疑われる病変に対してMRI‐US融合画像ガイド下前立腺標的生検(標的生検)を施行している。2019年度には135症例が蓄積した時点での研究成果を、2020年度は103症例を用いてこの装置を用いた病理診断を参照基準としてPI-RADS v2.1におけるマルチパラメトリックMRIとバイパラメトリックMRIの診断精度の比較研究を報告した。MRI‐US融合画像ガイド下前立腺標的生検は順調にその後症例が蓄積されており、最終的には前立腺生検と前立腺全摘除術の両者が施行された約100症例を対象として、今回の研究の目的である標的生検の悪性度の正確性に関する成果を報告できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、MRI‐US融合画像ガイド下前立腺標的生検は年間約200症例のペースで行われ、その中でこの一年間において前立腺全摘除術が施行された症例は約60症例である。したがって今回の研究において従来予想していた以上の症例数を確保できると考えている。研究計画の変更は特になく、MRI‐US融合ガイド下前立腺標的生検を用いた前立腺癌の治療前悪性度評価法の確立に向けてこの研究をすすめていく。加えて今回の研究においてマルチパラメトリックMRIで検出できず、追加の系統的生検でのみ検出される前立腺有意癌も少なからず存在しその病理学的な特徴付けも含めた検討も併せて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたデータ解析ができてなかった為、次年度使用額が生じた。今年度は二回の国際学会に加えて、データ保存用のDVD-RAM、USBメモリースティック、医用画像解析アプリを搭載したパーソナルコンピュータの購入と論文作成における英文添削による費用が必要であるため上記の所要額を消費することが予想される。
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