研究実績の概要 |
H31年度の安定分散法による動物用標的指向型金ナノ粒子合成、R2年度の蛍光標識とin vivo イメージング装置での体内動態観察により、投与経路としてIVよりITでの腫瘍蓄積が高くなる結果となったため、R3年度はIT経路で腫瘍部皮下3方向から金ナノ粒子を濃度6~12㎎/mLで100μL投与、その後集束超音波(強度1.2W/m2)を3分照射射して腫瘍内分散を亢進させ、12時間後に10MVの治療用X線3Gyを4回、合計12Gy照射するプロトコルを策定した。 さらに、X線照射下の金ナノ粒子で、HSP70, HMGB1, S100A9/B9等を含む細胞障害性分子パターン(DAMPs)放出を促進し、炎症性プログラム細胞死(Pyrotosis)を示す結果に基づき、B16メラノーマ細胞を、金ナノ粒子存在化で60Gy照射して積極的にDAMPs生成させた後、透析膜を多段階で使用して質量数30~100 kDa のDAMPsを回収した。この濃縮溶液に、新たに金ナノ粒子を加え、DAMPs吸着の金ナノ粒子を6~12㎎/mLに調整して、B16メラノーマ担癌マウスに、アジュパントを加えて投与、放射線と腫瘍免疫併用効果の検討を行った。 実験では、マウス大腿部の両側にメラノーマを形成し、同量のアジュバント含有金ナノ粒子を投与後、左側のみに集束超音波照射と10MVX線照射を2日おきに3Gyx4回照射した。2回照射後に、金ナノ粒子のブースト投与を行なった結果、X線照射側では、2.8~9.8倍の抗腫瘍効果が確認できた。また、X線非照射側でも、1.2~2.5倍の抗腫瘍効果が観察されたことから、腫瘍免疫による一定の増殖抑制が示唆された。
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