研究課題/領域番号 |
19K08115
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 千恵次 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10292012)
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研究分担者 |
孫田 惠一 北海道大学, 大学病院, 副放射線技師長 (20636419)
真鍋 治 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (40443957)
志賀 哲 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (80374495)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 虚血性心疾患 / PET / 心電図同期 |
研究実績の概要 |
虚血性心疾患症例30症例に、心電図同期を行った15O-H2O心筋PET検査を実施し、左室拡張末期ダイナミックPET画像の作成を試みた。患者には冠血管造影検査も実施し高度狭窄を認める局所心筋区域を確認した。各検査は、500MBqの15O-H2Oを2分間静注しながら6分間のダイナミックデータ収集を、3Dリストモード収集で、心電図も同時収集しながら行った。心電図同期は、R-R間隔を4分割し、その中から拡張末期に最も近いデータを抽出した。今回の装置では、R-R感覚を4分割より多くするとカウント不足で再構成画像が作成されない症例があり、全症例で、R-R間隔4分割し、3相目の像を拡張期像として採用した。心筋全体を囲む3次元ROIを設定し、それを17分割し、局所心筋の時間放射能曲線R(t)と、左室内腔の時間放射能曲線LV(t)を求めた。組織還流分画PTF(心筋1mLに血液が還流する容積mL)、放射能かぶり率Va、および心筋血流量MBFをそれぞれの局所心筋ROIの時間放射能曲線から、シングルコンパートメントモデルと非線形最小二乗法を用いて算出した。心電図同期しないダイナミック画像と、心電図同期したダイナミック画像の両方を再構成し作成した。病態を定量化する指標として組織灌流率PTFを計算した。心電図同期しない場合には正常心筋と虚血心筋のPTFに有意差を認めなかったが、心電図同期データでは、虚血心筋は正常心筋より有意なPTF低下を認めた(p<0.01)。結果として、 心電図同期は左室心筋壁運動のアーチファクトを抑制し、虚血心筋のviabilityを推定するPTFの値をより良く評価できた。この結果は、2019年6月に米国核医学会(SNMMI)にて口演発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心電図同期PET画像データは左室心筋壁運動のアーチファクトを抑制し、虚血心筋のviabilityを推定するPTFの値をより良く評価できた結果を得られ、この結果が、2019年6月の米国核医学会(SNMMI)にて口演演題として採択され、口演発表する成果を得た
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今後の研究の推進方策 |
今後は、虚血性心疾患の再灌流術後における心筋血流予備能を評価するために、15O-H2Oを用いたATP薬剤負荷ダイナミック心筋PETデータに心電図同期を行い、心拍動によるアーチファクトを減らし、心筋血流予備能の測定を改善する方法を開発し、従来の心電図同期しない場合と比較し検討する。
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