研究課題/領域番号 |
19K08126
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
谷川 徹也 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 客員准教授 (70423879)
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研究分担者 |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40285292)
渡邉 俊雄 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (50336773)
平良 高一 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00783713)
大谷 恒史 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30597555)
灘谷 祐二 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00634007)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | interferon-alpha / 放射線性食道炎 / I型インターフェロン / 形質細胞様樹状細胞 / アポトーシス / Toll-like receptor 9 / PARP |
研究実績の概要 |
I型インターフェロンの一つであるinterferon-α(IFN-α)はウイルス等の病原体を排除する生体防御機構を担う一方、自己免疫性疾患等において自然炎症を惹起するといった炎症誘発的な側面も持っている。本研究では放射線性食道炎におけるToll-like receptor-9 (TLR-9)およびIFN-αの役割を疾患モデルマウスを用いて検討した。 放射線照射装置を用いてマウスの胸部に放射線照射を行い放射線食道炎疾患モデルマウスを作成した。体重、餌摂取量、食道扁平上皮層の断面積、食道上皮細胞のアポトーシス、cleaved poly ADP-ribose polymerase (PARP)の発現、TLR-9,・KC・TNFα・IL-1β・IFN-α mRNAの発現量について検討を行った。形質細胞様樹状細胞(pDC)の関与を検討するため、pDCの抑制薬であるBortezomibあるいはpDC不活化抗体である抗体CD317抗体を腹腔内投与した。 放射線照射群は非照射群に比し体重および餌摂取量の減少を認めた。放射線照射群では食道扁平上皮層断面積の減少、食道組織のcleaved PARPの発現亢進、上皮細胞のアポトーシスといった放射線食道炎が誘発されていた。放射線照射により食道組織におけるIFN-αの遺伝子発現は著明に亢進していた。一方、TLR-9の遺伝子発現は低下していた。IFN-α中和抗体の投与により上記に挙げた食道上皮の放射線障害のパラメーターは軽快し、逆にIFN-α receptor agonistの投与により放射線傷害は増悪した。Bortezomibおよび抗CD-317抗体はIFN-αの遺伝子発現を抑制するとともに放射線食道炎を抑制した。以上より、放射線性食道炎においてIFN-αは発症に重要な役割を有すると考えられた。IFN-αの産生細胞としてpDCの関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎研究については概ね順調に研究が進展しており、令和2年度中に研究成果を英語論文にまとめ、海外の学術雑誌に研究論文を提出した。また、国内外の学術集会で研究成果を発表した。 本研究を臨床へどのようにトランスレーションしていくかが今後の課題と考える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究により、放射線性食道炎において形質細胞様樹状細胞の産生するIFN-αが放射線性食道炎の発症に重大な役割を有する可能性が示唆された。2021年度にはその結果が確かなものかどうかについて更に検討を行う予定である。また、提出した研究論文の査読結果を見て、必要な実験をさらに追加で行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症パンデミックのため、緊急事態宣言中は当研究施設の実験の自粛が指示され予定していた実験が施行できず、その分の研究試薬費と実験動物購入費が令和2年度の残となりました 令和3年度に行う実験に必要な消耗品や研究試薬の購入に充てる予定です。
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