in vitroからin vivoまでのアッセイを通して、薬剤による放射線修飾効果測定システムを確立することを目的とし、本年度はin vivoに関する論文を発表した。 概要は以下の通りである。 この研究ではEdaravone のマウス小腸陰窩細胞とマウス可殖腫瘍に対する放射線防護効果を求めた。マウス小腸に対しては、マウス15Gyを全身照射し、照射15分前にEdaravoneを腹腔内投与した。3.5日後に屠殺し空腸の陰窩細胞生存率、および小腸の組織学的障害をPark's injury scoreを用いて評価した。またアポトーシス評価のためcleaved caspase-3陽性細胞数の計測を行った。腫瘍に対する効果はC3Hマウス可殖SCC VII腫瘍を用いた。放射線照射15分前にEdaravoneを腹腔内投与した。照射直後にマウスを屠殺し腫瘍を摘出し、コロニー法で細胞生存率を計測した。 15Gy照射後の空腸陰窩細胞生存率はedaravone 100 mg/kg投与群で有意に上昇していた。小腸の組織学的障害およびアポトーシス細胞数は100mg/kg edaravone投与群で有意に低値を示した。一方、100mg/kg EdravoneはSCC VII腫瘍には防護効果を示さなかった。 以上から、100mg/kg Edravone X線照射15分前腹腔内投与は、腫瘍に対しては効果が認めないが、小腸絨毛細胞には防護作用を示すことが明らかになった。 研究期間を通じて、放射線防護剤Edaravone、および低酸素細胞放射線増感剤候補としてのSulfasalazineを対象薬剤として研究を行った。In vivo部分は上記論文に示した通り順調に結果が得られた。一方、細胞レベルではマウス由来腫瘍細胞株、線維芽細胞株を用いて研究を行ったが、一定のデータを得ることができなかったため論文化は断念した。
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