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2020 年度 実施状況報告書

X線の抗腫瘍効果に占める腫瘍血管損傷の寄与の硼素中性子捕獲反応を用いた定量的解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K08134
研究機関大阪医科大学

研究代表者

小野 公二  大阪医科大学, BNCT共同臨床研究所, 所長 (90122407)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードBNCT / 抗腫瘍効果 / 線量増殖遅延関係 / 線量細胞生存率関係 / 腫瘍血管損傷の寄与
研究実績の概要

B16マウス悪性黒色細胞を移植したC57-Blackマウスに10B-BPA 500mg/kg体重を皮下投与し、30分、60分そして90分後に腫瘍を切除、腫瘍中の10B濃度を即発ガンマ線分析によって測定した。その結果、平均濃度は60分で最高値に達し、約28ppmであった。BPA投与後60分を挟んだ時間帯に、中性子照射を行った(原子炉出力は5000kW)。中性子照射時間は5分、10分、15分、20分とした。担癌マウスの一部は、そのまま腫瘍のサイズ(3方向)を計測し、増殖遅延―縮退を調べた。亦、一部は照射後に摘出し、細切、トリプシンによる酵素処理を施し、単離細胞を得た。これを牛胎児血清を含む培地を入れたプラスチック・ディッシュに播いた。12日後に形成されたコロニーをエタノール固定し、クリスタル・バイオレットにて染色、コロニーを計数し、細胞生存率を求めた。中性子の20分照射では細胞生存率の低下が過大に過ぎると予想し、細胞生存率評価は実施しなかった。亦、サイズの計測評価では、5分照射は効果が過小と予想されたので、実施しなかった。線量-細胞生存率の関係からD0=0.76Gyとなったが、これはホウ素中性子捕捉反応の効果に他の中性子と窒素や水素の反応の効果、γ線の効果も含まれるため、それを勘案すると、D0=0.96Gy程度になり、既存の実験結果と良く符合する。腫瘍サイズの変化で観ると、10分照射の効果は、増殖の遅延日数が1日以下と小さいが、15分照射では効果が急に大きくなり、BNCR反応の殺細胞効果とは並行しなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1.コロナ・パンデミックにより研究用原子炉の在る京大複合研での実験がし難かった。
2.用いたB16黒色腫の免疫原性が強く、放射線による細胞生存率の大小と腫瘍増殖遅延の
関係が明確にならなかった。

今後の研究の推進方策

1.所属の大阪医科薬科大学で可能な実験、例えばX線の効果の其れは所属施設の設備を使っ
て行い、実験の効率を上げる。
2.B16黒色腫が免疫原性の強すぎる故かと推測される点については、マウスにCD4+細胞や
CD8a+細胞を抗体の投与で除き、抗腫瘍免疫の影響を除外した後に、X線、BNCTで比較す
る.21年度には、そうした実験を予定し、腫瘍血管損傷が放射線治療効果に占める寄与分
を明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ・パンデミックにより、京大複合研への出入りが制限され、中性子照射実験の機会を活かしきれなかったため、次年度使用額が生じた。
次年度は、研究者の所属する研究機関で実施できる実験は可能な限り所属研究機関で行う方向で実験・研究の場の整備を行っており、X線および可能な内容の中性子照射実験の費用に研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)

  • [雑誌論文] Reevaluation of CBE value of BPA for hepatocytes2020

    • 著者名/発表者名
      Ono Koji、Tanaka Hiroki、Suzuki Minoru
    • 雑誌名

      Applied Radiation and Isotopes

      巻: 161 ページ: 109159~109159

    • DOI

      10.1016/j.apradiso.2020.109159

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] An attempt to improve the therapeutic effect of boron neutron capture therapy using commonly employed 10B-carriers based on analytical studies on the correlation among quiescent tumor cell characteristics, tumor heterogeneity and cancer stemness2020

    • 著者名/発表者名
      S. Masunaga, Y. Sanada, K. Tano, Y. Sakurai, H. Tanaka, T. Takata, M. Suzuki, K. Ono
    • 雑誌名

      Journal of Radiation Research

      巻: 61 ページ: 876, 885

    • DOI

      10.1093/jrr/rraa048

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Boron neutron capture therapy for clear cell sarcoma2020

    • 著者名/発表者名
      Fujimoto T., Suzuki M., Sudo T., Fujita I., Sakuma T., Sakurai Y., Hirose T., Morishita M., Takata T., Tamari Y., Tanaka Hi., Ando T., Kawamoto T., Hara H., Fukase N., Kawakami Y., Shigemoto R., Matsumoto T., Ichikawa H., Ono K., Kuroda R. yosuke、Akisue Toshihiro
    • 雑誌名

      Applied Radiation and Isotopes

      巻: 166 ページ: 109324~109324

    • DOI

      10.1016/j.apradiso.2020.109324

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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