研究課題/領域番号 |
19K08134
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
小野 公二 大阪医科薬科大学, BNCT共同臨床研究所, 所長 (90122407)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腫瘍血管 / ホウ素ー中性子線量 / 殺細胞効果 / コロニー形成率 |
研究実績の概要 |
2022年度はコロナ感染症の継続と、京都大学複合研の研究炉利用運転の開始が遅れたこと、加えて研究申請者が8月末に重篤な病気に罹患(結果的には無事に完全回復)し、1ヶ月にわたる入院、その後の、静養やリハビリテーションもあって、身体的な負担をかけない生活を余儀なくされたため、実験研究を中止していた。最近になって、少しづつ再開している状態である。現在、過去の実験データを再解析する作業を進めており、BNCTによる腫瘍の治癒を得るレベルの効果(コロニー形成率)は個々のがん細胞に対する効果のみで説明でき、血管損傷の関与が極めて小さいことを論証する論文の作成を準備中である。 既に蓄積できているデータは、2種のホウ素化合物BSHとBPAを投与して中性子照射を行った時の細胞生存をコロニー形成法で求めたものである。ホウ素化合物が異なると、効果が異なるため、細胞生存率と中性子量の関係のグラフは異なったものになる。ホウ素化合物が異なっても、BNCT反応で放出の粒子は高LET放射線であるので、片対数グラフ上で直線となる。次に腫瘍の治癒に関わる中性子量レベルでの細胞の生残数は中性子量と腫瘍制御率のグラフからも求めることが出来る。腫瘍塊中のBNCT前の細胞数の平均は細胞サイズを病理組織標本から求め、その値を用いて先の腫瘍治癒レベルの細胞数を除すと、細胞生存率を推定できる。この値と中性子量の関係は片対数グラフ上で直線になる。そして、その傾きは2種のホウ素化合物で異なることが分っている。この照射中性子量の異なる実験の解析を結合すると、何れの2種のホウ素化合物において中性子量零から治癒に到る量までの間で、がん細胞の生残率と中性子量の関係の全体像を明らかに出来る。その結果、BNCTでは治癒を得るには等しいがん細胞生残率を得ることが必要で、血管の損傷の関与は無視できることが、推測されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度はコロナ感染症の継続と、京都大学複合研の研究炉利用運転の開始が遅れたこと、加えて研究申請者が重篤な8月末に重篤な病気に罹患した(結果的には無事に完全回復)ため、1ヶ月にわたる入院、その後の、静養やリハビリテーションもあって、身体的な負担をかけない生活を余儀なくされたため、実験研究を中止していた。
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今後の研究の推進方策 |
最近になって、少しづつ再開している状態である。現在、過去の実験データを再解析する作業を進めており、BNCTの効果(コロニー形成率)が個々のがん細胞に対する効果のみで説明でき、血管損傷が関与していないことを論証する論文の作成を準備中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年8月末の重篤な病気(結果的には無事に完全回復)ため、1ヶ月にわたる入院とその後の静養や回復訓練もあって、身体的な負担をかけない生活を余儀なくされ、実験研究を中止していた。最近になって、少しづつ再開できている。23年度は自大学の加速器中性子源を用いて担がんマウスにBNCTを行い、照射線量と細胞生存率の関係のデータをコロニー形成法によって集積し、既に実施済みのγ線の照射線量とコロニー形成法による細胞生存率の関係、治癒率との関係等を比較して、腫瘍血管損傷が抗腫瘍効果に及ぼす影響を解析する。
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