研究課題
腫瘍効果に介入治療(BNCT)の腫瘍血管に対する効果が如何様に影響するかを、再発悪性神経膠腫とりわけ膠芽腫(GBM)を例に、その治療成績から考察した。解析の対象はBNCT治験JG002において再発前診断時からGBMの症例で、かつ、初回再発例、加えて再切除が非適応の症例である。これ等と治験参加施設から収集した再発GBMの内、対照群として適切な患者を比較した。再発悪性神経膠腫の予後はRPAのクラスⅠからクラスⅦに分けられる(JCO. 200)。報告論文のクラス毎の生存率データと再発後時間(月)の関係を、生存率を対数表示で解析すると、何れのクラスも指数関数となる。BNCT介入群で該当するのはクラスⅣ(4)、Ⅴ(2)、Ⅵ(9)の15例である。一方、対照群はクラスⅣ(1)、Ⅴ(9)、(26)の36例である。この二つの生存率曲線を比較するとBNCT介入群の生存率は最初に15ヶ月程の肩を持つ指数減少曲線で、24ヶ月以降は生存率が平たん化する。方や対照群の其れは、最初に4ヶ月程の肩を持ち指数減少した後、BNCT群同様に、24ヶ月以降は生存率が平たん化する。亦、指数減少曲線の傾きは等しい。BNCTでは治療介入は1回のみで、効果は極めて腫瘍細胞選択的であることを考えると、指数減少曲線の等しい傾きは極めて合理的である。肩の大きさの差が、BNCTによる殺細胞効果を示すと考えられる。亦、平たん化した生存率のレベルは一回のBNCT介入で腫瘍の長期制御が達成できる腫瘍の割合を示していると解釈できる。通常の治療の様に介入が反復される場合には、曲線の傾きは緩やかになるし、腫瘍細胞の破壊に加えて腫瘍血管の破壊が加わる場合には、同様に曲線の傾きが小さくなるはずである。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
Journal of Radiation Research
巻: 64 ページ: 795-803
10.1093/jrr/rrad054
巻: 64 ページ: 811-815
10.1093/jrr/rrad056
巻: 64 ページ: 399-411
10.1093/jrr/rrad001
巻: 64 ページ: 859-869
10.1093/jrr/rrad064