研究課題
任意の脳部位の神経活動を繰り返し、非侵襲的に操作できる化学遺伝学的技術の1つであるDREADDは、近年、ヒトと同様の高次脳機能を有する非ヒト霊長類への応用が進んでいる。しかし、げっ歯類に比べ利用できる個体数に限りのある非ヒト霊長類に適用するための条件検討は従来の方法では時間的・経済的コストが多大となり、より効率的な条件検討手法が求められている。本研究では陽電子放出断層撮像法(PET)等インビボイメージングを用いることで目的導入タンパク(人工受容体)の発現だけでなく操作された神経活動の変化を反映する機能的側面も定量的に評価することで、非ヒト霊長類への適用を効率的に最適化させる手法を確立することを目的とした。DREADDの発現レベルの定量評価についてC-11標識したdeschloroclozapine (DCZ)を用いたPET測定で、小脳を参照領域としたoriginal multilinear reference tissue model (MRTMo)法によって評価できると考えられた。またDREADDを介した神経活動操作についてF-18標識デオキシグルコース(FDG)を用いて作動薬でもあるDCZ負荷時の糖代謝の変化を測定したところ、DCZの用量依存的およびDREADD発現レベル依存的に糖代謝は増加した。さらに通常DCZを作動薬として用いる場合、筋肉内投与をするが、経口投与でも約3倍の用量で効果を認めた(Oyama et al., J Neurosci, 2021)。このようにPETを用いることでDREADDの発現レベルおよび神経活動操作をインビボで評価可能であり、新しいウイルスベクター等を非ヒト霊長類へ適用するとき効率的に最適化が可能と考えられる。
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The Journal of Neuroscience
巻: 42 ページ: 2552~2561
10.1523/JNEUROSCI.1657-21.2021