研究実績の概要 |
我々が開発した新たなTACEの手法であるRAIB-TACEを4施設43名の肝細胞癌患者で施行した。RAIB-TACEは、バルーン閉塞下に破砕ゼラチン粒子とシスプラチン水溶液を交互に肝動脈に注入するTACEである。43名のうち41名について術後6ヶ月まで経過観察可能であった。本手法により3名の患者で合併症が生じたが、いずれも通常のTACEでも起こりえる比較的軽微な合併症で、重篤な合併症はみられなかった。治療成績は、完全寛解が22%、奏効率が73.2%であった。治療後2ヶ月での、Child-Pugh分類では、2名の患者でAからBへの肝機能の悪化があったが、ほかの患者では、Child-Pugh分類での肝機能の悪化はみられなかった。以上の結果から、RAIB-TACEは比較的肝機能を温存しながら、高い治療効果のある安全なTACEの手法であると言える。 本研究の結果は、「Hoshiai S, Irie T, Mori K, Hasegawa N, Fukuda K, Ishige K, Mori K, Arai H, Takahashi N, Nakajima T. A Transarterial Chemoembolization of Balloon-Occluded Alternate Infusions of Cisplatin and Gelatin Particles for Hepatocellular Carcinoma: A Phase I/II Multicenter Prospective Study of Safety and Efficacy. J Vasc Interv Radiol. 2022 Feb;33(2):169-176.e1. doi: 10.1016/j.jvir.2021.10.015. Epub 2021 Oct 27. PMID: 34715322.」で公表されている。
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