研究課題/領域番号 |
19K08152
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
祖父江 慶太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (90622027)
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研究分担者 |
村上 卓道 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20252653)
上嶋 英介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40645561)
上野 嘉子 神戸大学, 医学研究科, 助教 (50625134)
増田 充弘 神戸大学, 医学研究科, 助教 (60512530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膵癌 / 線維性間質 / バイオマーカー / CT / ヨードマップ |
研究実績の概要 |
本研究の目的はDual-Energy CTで撮像したダイナミック造影CTから得られるヨードマップを用いて膵癌内部の線維性間質の多寡を定量測定することにより、非侵襲的に膵癌の悪性度ならびに治療抵抗性の予測を行うことである. 最終目的の前の先行研究として、膵癌線維化マーカーであるCollagen fiberならびに活性化膵星細胞と予後との関連を後方視的に評価した。2008年から2017年の間に神戸大学病院において膵癌に対して手術加療が行われた通常型膵管癌162症例に対してCollagen量を評価するEVG染色、活性化膵星細胞を評価するα-SMA染色を行った。それぞれの全体における染色割合をPhotoshopで算出し、その多寡で予後を評価した所、Collagen fiberが高度な膵癌は軽度な膵癌と比較して生存率が有意に延長(Log-rank test P=0.001)、α-SMA陽性細胞が高度の膵癌は軽度な膵癌と比較して生存率が有意に延長していた(Log-rank test P=0.001)。また線維化高度な膵癌では腫瘍内のCD8陽性T細胞が多いことも判明した。この結果から、膵癌においては線維化が高度な症例で予後が良く、腫瘍内免疫状態とも関連している可能性が示唆された。 続いて、上記対象162膵癌に対して造影CT平衡相画像から線維化を予測可能かを評価した。線維化予測指標としてECV fractionを利用して18例において評価を行った所、ECV fractionとCollagen fiberの程度に中等度の相関が見られたが(ρ=0.641、P=0.034)、α-SMA陽性細胞との程度には相関は認められなかった(ρ=0.352、P=0.289)。造影CT平衡相における評価は検討症例数を増やすとともに、ヒストグラム解析の追加を検討している。 また、Dual-Energy CTを用いた膵癌線維性間質の評価を行うための研究に対して倫理委委員会の承認が得られ、実施体制を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題である膵癌内の線維性間質を評価する試みに対して後方視的研究を進めることができたこと、Dual-Energy CTのヨードマップを用いた前向き研究の準備ができたため、順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Dual-Energy CTのヨードマップを用いた膵癌内の線維性間質評価に対しては、今後の膵癌治療に術前化学療法が標準治療となる可能性があるため、手術検体を用いた評価ができない危険性がある。その場合には、病理組織学的な線維性間質評価の代用として臨床的な予後評価に主要評価項目を変更する必要があり、検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に購入予定であったデュアルエナジー対応CT評価用ファントムの購入を行えなかったため、助成金に差額が生じた。次年度に購入予定である。
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