研究実績の概要 |
奈良県立医科大学付属病院に入院するPAD患者について、下肢動脈カルシウムスコア、年齢、性、喫煙・飲酒習慣、body mass index、冠動脈疾患の有無、脳血管障害の有無、 糖尿病の有無、高血圧の有無、 脂質異常症の有無、腎不全の有無、透析歴の有無、フラミンガムリスクスコア、抗血小板剤内服の有無、造影剤腎症の有無などの項目を含む基本データベースを構築した。2018年1月から2020年12月末までに研究に同意が得られた127名のうち、血管内治療後の経過観察期間が1ヶ月未満の25名は除外し、102名を分析対象とした。平均年齢は73.9歳、女性27.5%、高血圧76.5%、糖尿病58.8%、脂質異常症46.1%、虚血性心疾患の既往30.4%、脳梗塞の既往19.6%、透析患者25.5%、BMI中央値22.2だった。カルシウムスコア中央値は2807(0-54383)だった。病変長は中央値20(1-45)cm、完全閉塞は51%に認めた。X線透視下でのPACSSカルシウムスコアは0,1,2,3,4がそれぞれ40.2%,17.2%,9.2%,5.7%,27.6%だった。PACSSスコアとCT計測によるカルシウムスコアには比較的強い相関が見られた(相関係数0.67 P<0.001)。血管内治療の治療デバイスはバルーン拡張術19.6%、ベアメタルステント留置 9.8%、薬剤溶出ステント留置 20.6%、薬剤コーティングバルーンによる拡張 40.2%、ステントグラフト留置 9.8%だった。ABIは治療前0.57から治療後0.91に改善した(P=0.002)。治療部位の一次開存率(再狭窄回避率)は1,2年で88%,74%だった。単変量解析による再狭窄のリスク因子は透析患者のみで(HR4.225, 1.701-10.492, P=0.002)、PACSSスコアやCTでのカルシウムスコアは有意な予測因子とはならなかった。
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