今年度は大腸がん肝転移に対する予後予測や治療効果判定を可能としたディープラーニングを応用した画像解析ソフトの開発を目標として、まずは実行可能性の高い臓器セグメンテーション技術の開発を株式会社PSPと進めた。ベイズ型3次元U-NET を用いて設計されたPython上のセグメンテーション技術の検証を行い、患者100名を対象としたディープラーニングツールと手動セグメンテーション間の脾臓体積の差の中央値は2.3%、平均Diceスコアは0.95(0.72-0.97)であった。引き続きディープラーニングツールの開発と大腸がん肝転移への応用を進めていく予定である。 研究期間全体を通しては、大腸がん肝転移に対する薬物治療後の画像所見と病理所見を対比することで、腫瘍壊死や血管新生、残存腫瘍細胞の有無が画像所見に影響することが明らかになった。また予後予測手法の確立のための画像解析の一手法として、ディープラーニングに対する理解を深めることができた。ディープラーニングを用いた画像セグメンテーション技術の確立に時間を要し、研究期間内に大腸がん肝転移に対する予後予測や治療効果判定を可能としたディープラーニング応用画像解析ソフトの開発を完了できなかったが、派生研究としてディープラーニングを応用したCT検査の被ばく低減、画質向上や肝腫瘍の描出能向上を達成することができた。
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