研究課題
前年度同様、引き続き脊髄脊椎のMRIデータ収集におけるより効率的な撮像シーケンスの選択、実際の撮像条件の調整、主に海外の新たな知見をもとにした生体モデルに基づくより高度な画像解析法の検討および実現可能性の検討と試行、計算結果としての定量値の検討を行った。本研究に関連する、既知の報告や知見からは、脊髄の軸索の定量的評価を目的とした撮像方法の選択として、脊髄という部位のMRI撮像における磁化率の特異性(磁化率変化が狭小化した空間的に強い)を考慮し、解析結果に重要な影響を及ぼす撮像方法の選択は重要な課題である。脳の神経科学検討で汎用されているsingle-shot エコープラナー法は、データ収集の時間短縮には良いが上記特殊性から最適とは断じがたく、データ分割収集法や脊髄のみをフォーカスとした局所励起技術を用いて、撮像条件の確認や得られたデータの妥当性の検討を行った。さらに、髄鞘の評価方法として、脳で用いられる磁化率移動を用いた手法を主としているが、定量的緩和係数測定などの手法も試行した。また、画像の撮像後処理は脳科学で用いられているような手法を基本とし、最新の知見をもとに独自に一部改変を行い、その妥当性も検討した。また、前年同様正常および疾患群のMRIデータより、脊髄の軸索および髄鞘の定量的変化を異なる解析手法により検討した。さらに当初より導入されている、脊髄MRI画像の客観的な解析手法の、Spinal cord toolboxを用いて、脊髄におけるMRIデータの定量値に関して解析を行い、得られた結果の一部を、海外学会(国際磁気共鳴医学会)にて発表した。研究全体を通じて、MRI撮像および解析手法に関して、ある程度の妥当性をもって確立されたといえるが、その再現性や、特に臨床応用において、不十分な面もあり、従ってその定量値の不均一性の改善は依然として課題で残る。
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