研究課題/領域番号 |
19K08162
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
冨士原 将之 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90388827)
|
研究分担者 |
鈴木 公美 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (60750932)
上紺屋 憲彦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00185985)
山門 亨一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20263022)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 頭頸部癌 / 放射線治療 / 舌運動機能 / 嚥下障害 |
研究実績の概要 |
本研究は、頭頸部癌に対する根治的放射線治療後の晩期障害として発生する嚥下機能障害に関連する舌運動に着目した研究である。放射線治療前後の舌圧の変化、嚥下機能を評価している。嚥下機能低下に関連する要因として、急性期の粘膜障害の程度と、口腔内の歯科金属の状態、歯科金属による放射線の散乱などを評価するためCT画像上の金属アーチファクトの程度、三次元治療計画上の舌の線量分布を評価している。 2019年度に倫理審査委員会の承認を取得し、症例の登録を開始した。2022年3月までに51例の患者に対し研究に関する説明を行い、全員から同意を取得でき、症例登録を行った。対象症例は、男性41例、女性13例で、年齢の中央値は、66歳(38歳~84歳)であった。原発部位の内訳は、口腔癌2例、上咽頭癌3例、中咽頭癌27例、下咽頭癌14例、喉頭癌4例、篩骨洞癌1例である。現在これらの症例に対する放射線治療を施行し、経過観察と舌圧測定を行っている。 このうち19例について解析を行ったところ、19例中7例で、治療開始前と比較して10%以上の舌圧低下がみられた。口腔内の歯科金属が多く、CT画像上の金属アーチファクトが強い群で舌圧低下がみられた。これらの群で口腔内金属に接する部位の粘膜炎の重症度が高く、グレード3の粘膜炎の頻度が高かったが、これまでのところ、歯科金属が、舌圧の変化に与える影響を見出すことはできなかった。しかし、本研究は、放射線治療後の晩期障害に着目したものであり、現時点では経過観察が短く、結論を得るには至っていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年11月より症例登録を開始し、これまでに2022年3月までに51例の症例の登録ができたが、適格症例において同意を得ることができなかった症例はいないが、対象となる症例の紹介が少なかったために全体としては遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
対象となる疾患である頭頸部癌症例については、患者紹介の窓口である当院耳鼻咽喉科頭頸部外科と連携する体制は整っている。対象症例の登録をこれまで通り確実に進めていくとともに、すでに登録された症例について経過観察を行い、データの集積を行っていく。本研究は、研究期間を1年延長し引き続き症例登録を進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年は、前年に引き続き新型コロナ感染拡大に伴い国内および国際学会への現地参加を見送ったため、次年度使用が生じた。2022年度には、舌圧測定に必要な物品の追加購入や、日本放射線腫瘍学会第35回学術大会での発表するための参加費用として使用を計画している。
|