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2020 年度 実施状況報告書

死後CT画像による死因診断基準の確立-肺所見を軸とした診断フローチャート作成

研究課題

研究課題/領域番号 19K08167
研究機関東北大学

研究代表者

川住 祐介  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00513540)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード死後画像検査 / CT
研究実績の概要

本研究の目的は、体表からの検案では死因不明とされる異状死体について、死後CTの画像での死因診断基準を確立することである。2009年から蓄積してきた症例に、2020年度に新たに撮影した症例を加え、検討を行ってきた。
これまで剖検所見とCT所見との乖離を幾つも経験してきたが、その中の一つに肝損傷がある。剖検では明らかに挫滅があるのにも関わらず、CT画像からは損傷を特定できないことが多くあった。しかしながら、症例を重ねていくうちに、比較的よく見かける所見がわかってきたため、今年度はそれらのCT所見をまとめ、剖検所見との相関を検討した。
2012年4月から2013年3月までの、死後CTが施行され、かつ法医学で死因が特定された1704症例を対象とした。剖検結果から、肝損傷のあった症例は67例であった。そのうち、CT画像で肝損傷を疑う所見は、肝表面gas(18例)、肝内巣状gas(17例)、肝表面高吸収液貯留(14例)の3つに分類することができた。それぞれの所見を用いた肝損傷診断能を評価したところ、肝表面gasでは感度26.9%、特異度96.4%、陽性的中率78.3%、陰性的中率72.9%、正診率73.5%、肝内巣状gasでは感度25.4%、特異度98.5%、陽性的中率89.5%、陰性的中率73.0%、正診率74.5%、肝表面高吸収液貯留では感度20.9%、特異度98.5%、陽性的中率87.5%、陰性的中率71.8%、正診率73.0%と算出された。この結果より、今回見出した所見があればほぼ間違いなく肝損傷が存在すると言える。
この内容の一部をまとめたものが、オーストリアのウィーンで開催されるEuropean Congress of Radiology (欧州放射線学会) のポスター発表として採択され、世界に発信した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス流行のため剖検数が少なく、また剖検実施例も高度腐敗したものが多く研究対象に適さなかったため。

今後の研究の推進方策

引き続き法医解剖前CT検査を実施し、症例を蓄積していく。
肝損傷に関しては、肝臓のCT値や形状などの所見との関係を調査する。
他の所見や死因についても検討し、これまでの研究結果と統合し、死因診断フローチャートの作成を進める。

次年度使用額が生じた理由

理由:学会参加が予定よりも少なかったため。また論文投稿がなかったため、ソフトウェアの購入や英文構成なども少なかったため。
使用計画:CTデータ保存およびバックアップ用のストレージデバイス、メディアの購入。データ解析を行うための統計解析やグラフ作成など各種ソフトウェアの購入。国内・国際学会への参加費、論文作成支援ソフトウェア購入および英文校正費。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Can liver injury be identified on post-mortem computed tomography?2021

    • 著者名/発表者名
      川住祐介
    • 学会等名
      European Congress of Radiology
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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