研究課題/領域番号 |
19K08169
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
萱野 大樹 金沢大学, 附属病院, 講師 (10547152)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 放射性ヨウ素内用療法 / 分化型甲状腺癌 / 遠隔転移 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、令和元年度に引き続き遠隔転移を有する分化型甲状腺癌患者に対して放射性ヨウ素内用療法(I-131内用療法)を施行し解析症例を蓄積しつつ、令和元年度に初回I-131内用療法が施行された症例のうちで2回目のI-131内用療法の適応ありと判断された症例について、2回目のI-131内用療法を施行した。また、2回目I-131内用療法が施行されなかった症例についても、適宜、診断的シンチグラフィを施行した。 令和2年度、合計46例の分化型甲状腺癌患者に対して初回I-131内用療法が行われたが、このうちI-131内用療法前の段階で遠隔転移があるものと想定し、遠隔転移に対する計画的なI-131内用療法が行われたのは5例であった。遠隔転移の内訳は、5例全例が肺転移であった。I-131内用療法後に取得したシンチグラフィ画像では、5例中1例(20%)に転移病変へのI-131集積が認められ、令和3年度以降に2回目のI-131内用療法の方針となった。また、I-131内用療法前に転移病変が明らかでなかった41例中、1例で初回I-131内用療法後のシンチグラフィ画像で骨転移へと考えられる異常集積を認めた。本症例について、令和3年度に診断的I-131シンチグラフィまたはI-131内用療法の方針となった。さらに、令和元年度から令和2年度に遠隔転移を有する分化型甲状腺癌に対して初回I-131内用療法が施行された患者で、令和2年度に2回目のI-131内用療法が施行された患者は1例であった。本症例について、I-131内用療法後に取得したシンチグラフィ画像にて、初回治療時と比較して肺転移病変への集積低下を確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。 令和元年度から令和2年度にかけて、遠隔転移を有する分化型甲状腺癌患者計22例に対してI-131内用療法を施行し、シンチグラフィ画像を取得した。22例の内訳は、I-131内用療法前から遠隔転移ありと想定された症例が20例、I-131内用療法後のシンチグラフィ画像で遠隔転移があることが判明した症例が2例である。転移部位別にみると、肺転移のみが16例、骨転移のみが2例、骨転移と肺転移を有する症例が2例、肺転移と胸膜転移を有する症例が1例、骨転移と胸膜転移を有する症例が1例である。また、これら22例のうち1例で、令和2年度に2回目のI-131内用療法が施行された。 当初計画の研究方法では、目標症例数を年間約15例、計30例と想定しており、若干症例は少ないものの、おおむね当初の予定通りに計画は進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況からは、おおむね当初の計画通りに症例の蓄積が期待できるため、令和3年度の研究では、初回I-131内用療法患者の新規登録は終了とする。令和3年度前半は、初回のI-131内用療法が施行された症例について、令和2年度に引き続き、2回目のI-131内用療法の施行とI-131投与後のシンチグラフィ画像の取得をおこなう。その上で、初回I-131内用療法の治療効果の評価をおこなう。この治療効果の評価では、初回I-131内用療法後に、診断的I-131シンチグラフィが施行された症例も含めて評価をおこなう。 治療効果の評価方法としては、各転移病変へのI-131集積の定量評価をおこなう。定量評価項目としては、病変1ml当たりの最大放射能量(Bq/ml-max)、最大放射能量のそれぞれ70%、50%、30%、10%対象領域内における平均放射能量(Bq/ml-mean70、Bq/ml-mean50、Bq/ml-mean30、Bq/ml-mean10)等を算出する。また、同時に、各転移病変における最大Standardized uptake value(SUVmax)と平均SUV(SUVmean)も測定する。シンチグラフィ画像から得られるこれらの定量指標と初回I-131内用療法の治療効果との相関、および、初回と2回目I-131内用療法時の転移病変のSUVmax、SUVmeanの変化と治療効果との相関等を知らべ、本研究の主目的である、I-131内用療法後シンチグラフィ画像を定量化することで、I-131内用療法の治療効果の超早期予測が可能かどうかの検討をおこなう。
|