研究課題/領域番号 |
19K08174
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小牧 稔幸 岡山大学, 大学病院, 医員 (40795548)
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研究分担者 |
平木 隆夫 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 研究教授 (50423322)
亀川 哲志 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 講師 (80432623)
松野 隆幸 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (50377842)
金澤 右 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20243511)
櫻井 淳 岡山大学, 大学病院, 准教授 (30444657)
松井 裕輔 岡山大学, 大学病院, 講師 (50614351)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 穿刺ロボット / CT透視ガイド下針穿刺 / IVR / たわみ予測モデル |
研究実績の概要 |
我々はCT透視ガイド下針穿刺ロボットを研究開発している。本ロボットはこれまで、術者がコントローラを操作してロボットの動きをすべて遠隔操作していた。術者による遠隔操作では、精度良く標的に穿刺できることをファントム試験、動物試験など非臨床試験で実証した。2018年度にはFirst-in-human臨床試験を実施し、本ロボットは臨床での使用も可能であることを確認した。 我々はロボットを段階的に自動化することを目指している。これまでの研究により、医師が用手で針穿刺を行う際にどのように軌道修正を行っているのかについてのデータ解析を行い、適切なフィードバックを実施するための指針を得た。また、ロボットを用いた穿刺手技のうち、針先を刺入点へと移動させるターゲティング行程、および狙った標的へ向け針を挿入する穿刺行程において、一部を自動化する半自動化穿刺システムを開発した。 半自動化のシステムでは、 CT 画像上の腫瘍、刺入点、および針先位置の認識とポインティング操作や、ロボットを動作させるタイミングを送る操作は術者の判断により行う。一方で、刺入点へ針先を移動させる制御や、標的の方向に対する現在の針先方向のずれの算出、ずれを補正するための針姿勢修正動作ならびに穿刺動作、これらに伴う逆運動学計算は、ロボット内部の計算機および操作インタフェースのソフトウェアとして実装されている。 開発したシステムの有効性や妥当性は、岡山大学病院のIVRセンターにてファントム実験を実施することで検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
針穿刺自動化のために、医師が用手により針穿刺を行っている際の針の軌跡のデータを解析して、目標軌道へ適切に収束させるアルゴリズムの解析を完了した。また、CTシステムとロボットシステムとを統合してCTのデータを自作プログラムにより処理する半自動穿刺ソフトウェアの試作が完了している。さらに、針穿刺中のたわみ予測モデルの構築も行った。これらを用いた有効性をファントム実験により検証し、その有効性を確認した。 特に、本期間に開発した穿刺手技の半自動化を実現するアプリケーションはDICOM ViewerダイアログとRobot Controllerダイアログの2つから構成されている。DICOM viewerダイアログでは、CT画像上にて刺入点、標的、および針先の3 点をクリックすることで、CT座標系上でのこれらの位置座標を取得する。Robot ControllerダイアログではDICOM Viewerダイアログ上で取得したCT画像上の位置情報をもとに逆運動学計算を行い、ロボット各軸の目標位置を算出する。その後 EXECUTIVEボタンを押下することで、導出された値に基づきロボットが動作する。なお、針穿刺中の姿勢修正において、一定の仮定のもとで針に発生するたわみを算出するモデルを作成した。このモデルを用いた姿勢変更を半自動化アプリケーションに実装することにより、標的方向への姿勢修正の精度が向上することをファントム実験により確認した。
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今後の研究の推進方策 |
ロボットによる穿刺の自動化において、CTとロボットとの位置合わせ(レジストレーション)の精度が重要となる。現時点でもある程度の精度でレジストレーションができているが、今後、簡便かつ高精度なレジストレーション実施の方策を検討する。 また、現時点では針のたわみモデルは穿刺中の組織が均一である仮定をもとに算出しているが、今後は、体内の不均一な組織分布にも対応できるようにたわみモデルを改良したり、力覚センサの値に基づいて針姿勢修正を行うアルゴリズムと統合するなど、より良い精度で自動穿刺を行うことを目指す。 さらに、現状ではCTシステムとロボットシステム間のCT画像データの送受信に時間がかかることが問題となっている。この点を改善できれば、リアルタイム画像認識からの針の位置姿勢をフィードバックした自動穿刺の可能性が高まる。今後、CTとロボットとのシステム統合もさらに検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に非臨床試験(ファントム試験、動物試験)の費用を次年度に繰り越している。進捗に大きな遅れはないが、次年度には開発段階に合わせて随時非臨床試験を進める。
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