研究課題
2020年3月に世界で初めて加速器を用いたホウ素中性子捕捉療法(加速器BNCT)システムの医療機器承認が下りた。放射線治療では定期的な物理学的品質管理(QA)を実施することが重要視されているが、加速器BNCTにおいては全く未整備な状況にある。本研究では今後普及が見込まれている加速器BNCTシステムにおける包括的かつ実用的なQA手法を構築した。はじめに線量的管理において最も基本となる線量計測時の水ファントムサイズの最適化を試みた。広く普及しているX線、電子線、陽子線、炭素イオン線治療においては標準計測体系がすでに確立しており、線量計測時に用いる水ファントムの仕様についても明確に定義されている。しかしながら、BNCTにおいては十分な議論がなされていない状況であることから、汎用モンテカルロコードであるPHITSを用いて至適ファントムサイズの導出を試みた。原子炉BNCTの先行研究を参照して水ファントムサイズ、コリメータサイズ、コリメータ―ファントム間距離(airgap)を変化させた総計108条件、それぞれにおける熱中性子フラックス、速中性子線量率、ガンマ線線量率を導出した。その結果、定期的なQAで用いるリファレンスファントムサイズは、現在多くの加速器BNCT施設で利用されている20 cm×20 cm×20 cm程度が妥当であることを改めて確認することができた。一方、airgapを設ける条件においては水ファントム入射窓の変形が計測精度に影響を及ぼすことから、変計量が許容範囲に収まる仕様についても検討した。最終的に水ファントムの製作を行い、所定の要件を満たしていることを検証できた。また、上記検討と並行して実際に臨床運用において実行可能なQAプログラムを考案し、一定の試行期間を経た後、確立することができた。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 2件)
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