研究課題/領域番号 |
19K08182
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研究機関 | 群馬県立県民健康科学大学 |
研究代表者 |
原 孝光 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 教授 (70464542)
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研究分担者 |
鈴木 義行 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60334116)
中神 佳宏 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80347301)
吉本 由哉 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80594390)
佐藤 浩央 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (90750571)
川村 拓 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 助教 (80424050)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | anti-PD-L1抗体薬 / 放射線増感効果 |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績としては、現在の免疫療法は細胞障害性T細胞の不活化を解除する免疫チェックポイント阻害剤の抗PD-1/ 抗PD-L1抗体が中心であるが、放射線照射後に腫瘍のPD-L1の発現が上昇するという報告があり、抗PD-L1抗体と放射線療法の併用療法は理論的に非常に有望と考えられている。しかし、放射線によるPD-L1の発現が変化する機序に関しては未だ完全には解明されていない状況である。また、腫瘍のPD-L1発現は免疫逃避だけではなく、腫瘍細胞自身の細胞生存能や増殖能にも関係している。そこで、我々はまず腫瘍細胞のPD-L1経路を標的とした放射線増感効果の探索することを初めに行った。使用した細胞株はマウス悪性黒色腫細胞B16、B16F10 、マウス大腸がん細胞株colon26、マウス肺がん細胞株3LLおよびマウス乳がん細胞株MM102D、4T1で実験を行った。まず初めに放射線と併用するanti-PD-L1抗体薬の濃度を各細胞株についてalamer blue法で調べた。そして各細胞株に対して80%の生残率を与える濃度に決定した。決定した薬剤濃度と放射線を併用する順序について放射線照射の前に24時間薬剤刺激をしたコースをpre treat、放射線照射後の24時間に薬剤刺激をしたコースをpost treatとし、放射線単独のものをコントロールとしてコロニー形成法にて、各種細胞株におけるanti-PD-L1抗体薬の放射線増感効果を調べた。その結果、実験回数が少ないためにS.Dが大きく、統計的な有意差は出てはいないがanti-PD-L1抗体薬によるin vitroでの放射線増感効果の傾向をつかむ事が出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、科研費のおかげで細胞培養用のCO2インキュベーターを購入する事が出来たので、自施設でも細胞培養が行えるようななった。しかし、自施設には細胞照射の設備が存在しない為、共同研究施設に行っての実験が求められている。そのような状況下において、大学での講義や新型コロナウイルスの影響で、共同研究施設への立ち入りが規制されてしまっている影響で、計画通りに実験が進められていない。また、次に考えている細胞内でのタンパク発現を調べる実験に関して、実施場所の確保の見通しが立っていない。以上のような状態の為、研究の進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進捗方策として、新型コロナウイルスによる規制が解除され、共同研究施設への出入りが自由にできるようになり、照射設備が使用できるようになってから、コロニー形成法による増感効果を調べるデータの件数を増やし、実験結果の信頼性の向上を行う。また、並行してタンパク発現を調べるためのwestern blotの実験(マイクロプレートリーダーによるタンパク量の定量とメンブレンに転写後のタンパク発現の画像を取り込めることが可能な施設を検索)がおこなえる場所の確保を早急に行っていく。この時に、大学における遠隔授業の準備や実施との調整を効率よく行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究責任者のところで発生した次年度使用額は、備品で購入したCO2インキュベーターがキャンペーン期間と購入時期が一致したため、当初予定より安く購入する事が出来たので発生した。次年度使用額については、次年度の試薬や消耗品の購入資金に使用する。研究分担者のところで発生した次年度使用金額は、今年度、実験の実施が遅れてしまったためである。次年度は、消耗品や旅費等に充てる予定である。
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