研究課題
今年度は主に次のふたつの研究(①ウサギ腹部正常動脈におけるGlue-CAST分布を評価する動物実験、②4D Flow MRI解析のファントム実験のための各種調整)を開始し、進行した。① 動物実験:ウサギ腹部正常動脈におけるGlue-CAST分布の評価:「一定の血流条件下の生体血管内でGlue-CASTがどのように分布するのか」に関する標準データを収集するため、ウサギの腎動脈を用いた動物実験を行った。冷却・加温により粘稠度調整したGlueを、複数の注入システムを用いて左右腎動脈から一定速度で注入して、血管内でGlue-CASTが重合・固定するまでの注入量・重合時間・Glueの血管内移動速度などを測定した。これらの条件は、これから計画するウサギ腹部動脈のCFD算出実験に用いられる基盤となる。また、現時点でのデータをもとにした論文作成を開始している。② 4D Flow MRI解析のファントム実験の前段階としての撮像条件の調整:実際のII型EL患者のCTデータをもとに3Dプリンタを用いて模擬血管を作成する計画を開始している。II型ELの対象血管は2㎜前後と細径であることが多く、血管の正確な再現は初期の想定よりも難しいことがわかった。そのため、条件の微調整を行いながら、精度の高い模擬血管作成を試みている。また、実際のII型EL患者を対象に、学内の倫理委員会の承認を得たうえで、保険診療の範囲内で4D Flow MRI撮像を行って、得られたデータを評価しながら撮像時間・ボクセル値・造影剤注入方法の最適化を検討している。
3: やや遅れている
・ウサギの動物実験において、ウサギの造影CTを実験専用の高分解能装置で撮像する計画を立てているが、設置している関連付属施設の動物飼育の環境を整備するために、予想外の時間を要している。・II型エンドリークの主な原因血管である腰動脈は1~3㎜程度の径の細い血管であるため、MRIで血管抽出する際に、これまでの撮像プロトコルでは時に限界がある。実際の臨床患者の検査を開始して、その結果をもとに撮像条件の最適化を図っている。このプロセスが予定よりも長くなっており、当初予定のファントム実験開始までの時間を要している。
上記の進捗の遅れの理由にあるように、動物実験とファントム実験の推進が次年度の鍵となるが、COVID-19の騒動のために、院外で行うプロセスが円滑には進まなくなっている。したがって、できるだけ院内でも研究目標の本質にプラスとなるような臨床試験を計画して、並行して推進してゆくよう、調整が必要と考えている。
模擬血管作成や動物実験が当初計画どおりには進んでいないため,予算の一部を次年度の計画事項で使用する予定とした.
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