| 研究課題/領域番号 |
19K08188
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| 研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
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研究代表者 |
河野 良介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 主幹研究員 (20392227)
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| 研究分担者 |
鈴木 雅雄 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所重粒子線治療研究部, 上席研究員 (70281673)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | Carbon-ion Radiotherapy / RBE / LET / Head and neck cancer |
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| 研究実績の概要 |
2021年度では、過去に散乱体方式で炭素線治療が施行された頭頸部腫瘍症例（悪性黒色腫やその他）に対して線量平均LETや線量平均LETの標準偏差計算システムを用いて、局所制御率や視神経障害について臨床解析を進めた。今回対象とした悪性黒色腫症例は59例
で、その他症例は71例であった。悪性黒色腫については、腫瘍に対しては再発群と非再発群に分けて、最小生物線量値と最小線量平均LET値について算出し、比較評価を行った。 腫瘍に対する再発と非再発では、最小生物線量値や最小線量平均LET値について有意な差は観測されなかった。
視神経障害については、悪性黒色腫症例やその他症例において、視神経障害の発生の有無に分けて、最大生物線量値と最大線量平均LET値を比較評価した。視神経障害の発生については、最大生物線量値に強く依存することが明らかになったが、最大線量平均LET値について有意な差は観測されなかった。前年までに解析を行った腺様嚢胞がん症例も加えて、再解析を行い、視神経障害に寄与する因子について、まとめたいと考えている。
そして、炭素線照射による放射線生物効果を踏まえ、任意の細胞に対する生物線量計算法の開発については、臨床上重要な線量平均LET値を新たなパラメータとして、 様々な細胞照射実験データや文献データを用いて、RBE計算モデルの構築を進めた。細胞の放射線感受性を示すαについて、炭素線とX線のαの比をLETをパラメータとしてフィットしたが、(α/β)xが５未満ではRBEを過大評価し、１０以上では過小評価する傾向があり、改善の余地を残した。今後は、(α/β)xが小さい細胞と大きい細胞を用意し、フィッティングを行うことで、RBE予測精度を上げたいと考えている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、研究の進捗が遅れた。特に、研究代表者が在宅勤務を強いられたことや研究協力者の来所制限を受けたことにより、研究をうまく遂行できなかった。実験実施も制限を受けたので、RBE計算モデル開発をうまく進めることは難しかった。そして、臨床解析でも、診療系の電子カルテシステムや治療計画装置の使用についても制限を受けたが、そのような状況下でも、研究協力者等の協力によりデータを揃えることはできたので、そこはうまく進めることができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
2022年度は、新型コロナウイルス感染症の影響だけでなく、研究代表者の異動もあり、より一層研究分担者や研究協力者との協力を密に連携することで対応可能であると考えている。そして、臨床解析については、これまでの頭頸部データをまとめ、成果発表を進めたいと考えているし、また、RBE計算モデル開発についても、新たな細胞データを加えてフィッティングを行い、モデルの精度向上を目指し、本研究を完遂したいと考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、実験や解析等の研究に大きな支障を来たした。必要物品の購入や国際学会参加等の成果発表予定の変更を余儀なくされたため、次年度に使用額が生じた。次年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けることがあるかも知れないが、その影響を最小限に食い止め、研究を潤滑に遂行できるよう準備を進める予定である。
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