研究課題
基盤研究(C)
炭素-11(11C)で標識した化合物は、陽電子断層撮像法(PET)を用いた診断だけでなく、有機化合物の動植物における動態の調査に有用である。11C標識化合物の合成において、[11C]シアン化水素は応用範囲の広い非常に有用な標識中間体であるが、その製造は一般に容易でない。そこで本研究では、最も一般的な11C標識中間体である[11C]ヨウ化メチルのガスを、容易に調整できる反応カラムに通じるだけで簡便かつ効率的に[11C]シアン化水素を製造できる方法を確立した。
放射性医薬品科学
いずれの11C利用施設でも容易に[11C]シアン化水素を製造できるようになったことで、これまで11C標識が困難であった11C標識化合物の利用が促進されることが期待される。新たな構造を有する11C標識PETプローブの設計と製造利用が可能となり、様々な疾患の新たな画像診断法の開発に貢献すると考えられる。また、アミノ酸、脂肪酸、アミンなどの11C標識合成が容易になることから、さまざまな医薬品や天然物の体内動態の評価に利用することで医療、生命科学、自然科学に大きく貢献することが期待される。