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2020 年度 実施状況報告書

新規PETリガンドによるグリアイメージング:種々の脳疾患における臨床応用の試み

研究課題

研究課題/領域番号 19K08191
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

石橋 賢士  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (50469962)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードアストロサイト / ミクログリア / MAO-B / TSPO / PET
研究実績の概要

アストロサイトおよびミクログリアの活性化は、炎症の存在および傷害組織の修復を示唆しており、あらゆる脳疾患で普遍的に生じ得る現象である。したがって、アストロサイトおよびミクログリア活性の画像化は、種々の脳疾患の病態の評価や治療方針の決定に有用な情報を与え得る。
18F-THK5351はMAO-B(モノアミン酸化酵素B)とともにタウ凝集に結合するが、親和性はMAO-B>>タウ凝集であることが確認されている。したがって、一部の例外を除き、18F-THK5351はMAO-Bを標的としたPETリガンドであると解釈される。MAO-Bは主にアストロサイトのミトコンドリア外膜に局在するため、MAO-B活性の程度は、アストロサイト活性、いわゆるアストログリオーシスの指標となる。11C-CB184はミトコンドリア外膜に局在するTSPO(トランスロケーター蛋白)に結合するPETリガンドである。ミクログリアが活性化するとTSPOが過剰発現するため、TSPO発現量はミクログリア活性の指標となる。
予備研究において、18F-THK5351(Ishibashi K, et al. Potential use of 18F-THK5351 PET to identify Wallerian degeneration of the pyramidal tract caused by cerebral infarction. Clin Nucl Med. 2017. 42:e523-4.)および11C-CB184(Ishibashi K, et al. Microglial activation on 11C-CB184 PET in a patient with cerebellar ataxia associated with HIV infection. Clin Nucl Med. 2018. 43:e82-4.)は見込みのあるPETリガンドであることを示した。その後、2020年度までの研究により、11C-CB184は微小なミクログリア活性を検出することはできず、臨床応用は困難であると結論付けた。一方、18F-THK5351は微小なアストロサイト活性を検出することができ、個々の症例でアストログリオーシスを画像化し得ることを示した。したがって、今年度は18F-THK5351の臨床応用に主眼を置く。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度末までに、延べ160名に対して18F-THK5351 PET検査を、延べ21名に対して11C-CB184 PET検査を行った。中間報告として、成果の一部を国際英文誌上、3報公表した。(1) Ishibashi K, et al. 18F-THK5351 PET can identify astrogliosis in multiple sclerosis plaques. Clin Nucl Med. 2020. 45:e98-100. (2) Ishibashi K, et al. Head-to-head comparison of the two MAO-B radioligands, 18F-THK5351 and 11C-L-deprenyl, to visualize astrogliosis in patients with neurological disorders. Clin Nucl Med. 2021. 46:e31-e33. (3) Ishibashi K, et al. Relationship between the temporal course of astrogliosis and symptom improvement in cerebral infarction: report of a case onitored using 18F-THK5351 positron emission tomography. BMC Med Imaging. 2020. 20(1):81.

今後の研究の推進方策

2021年度は種々の脳疾患患者を対象に18F-THK5351 PET検査を探索的に行い、18F-THK5351のアストログリオーシスイメージングとしての有用性を検討する。パーキンソン病および関連疾患、筋萎縮性側索硬化症に重点を置く。また約1-2年程度の間隔を空けてfollow-up PET検査を行い、経時的変化を観察することで、種々の脳疾患における病態評価を試みる。

次年度使用額が生じた理由

2020年度はCOVID-19の影響により、予定よりもPET検査件数と学会発表の回数が少なくなった。このため、旅費と謝金が予定より低額となった。
2021年度もCOVD-19の影響は持続すると考えられるため、当初の計画よりも低額となる可能性がある。
本研究の画像解析には、コンピューターやソフトの性能に依存した時間等の負荷がかかる。研究をいっそう推進するために、繰越分を含めて、このような負荷の改善にも使用していく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Head-to-head comparison of the two MAO-B radioligands, 18F-THK5351 and 11C-L-Deprenyl, to visualize astrogliosis in patients with neurological disorders2021

    • 著者名/発表者名
      Kenji Ishibashi, Masashi Kameyama, Yoshiharu Miura, Jun Toyohara, Kenji Ishii
    • 雑誌名

      Clinical Nuclear Medicine

      巻: 46 ページ: e31-e33

    • DOI

      10.1097/RLU.0000000000003197

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Relationship between the temporal course of astrogliosis and symptom improvement in cerebral infarction: report of a case monitored using 18 F-THK5351 positron emission tomography2020

    • 著者名/発表者名
      Kenji Ishibashi, Yoshiharu Miura, Kosei Hirata, Jun Toyohara, Kenji Ishii
    • 雑誌名

      BMC Medical Imaging

      巻: 20 ページ: 81

    • DOI

      10.1186/s12880-020-00481-4

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Potential use of 18F-THK5351 PET to identify astrogliosis in neurological diseases2020

    • 著者名/発表者名
      Kenji Ishibashi
    • 学会等名
      American Society of Neuroradiology Annual Meeting 2020
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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