2023年度はサイクロトロンを用いてI-124の製造を行った。Te-124を原料とし、マトリックス化のため6%(w/w)の酸化アルミニウムを加え、ターゲット容器内で加熱したものをターゲットとして調整を行った。そのターゲットをターゲットホルダーにセットし、ターゲット移送搬送装置を用いてビームコースにターゲットをセットした。サイクロトロンの照射条件はプロトン14 MeV、平均電流値3.24 マイクロA、照射時間440分で行った。短半減期核種の減衰を待つため、照射終了後3日目に酸素気流下における乾留法を用い、I-124のターゲットからの分離、精製を行った。その結果、測定時において171 MBqのI-124を製造することができた。またその際のターゲットからのI-124の回収率は約90%であった。この時のサイクロトロンの運転は多少不具合があったため、電流値を増やすことができなかったが、電流値を増やすことができればI-124製造量の増加が期待できると考えられる。しかし、その後不具合がさらに深刻な状況となり、2023年10月以降、サイクロトロンの運転ができない状況に陥ってしまった。そのため、I-124の製造は1回しか行うことができなかった。 分析系に関しては高速液体クロマトグラフィーで使用するUV検出器が破損したため、その見積もりを7月に業者に依頼したが予算との兼ね合いもあったのかその見積もりが来たのが12月、すぐに発注処理をしたが、実際に機器が納入されたのが2月中旬となり、分析系の実験はできなかった。 以上、本研究期間ではI-124の製造および合成終了後の効率の良いI-124の回収について検討を行ったが、コロナ禍、地震、実験施設の改修工事と様々な要因が重なり、当初の予定通りの研究はできなかった。
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