研究課題/領域番号 |
19K08199
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
村上 卓道 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20252653)
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研究分担者 |
鶴崎 正勝 近畿大学, 大学病院, 准教授 (00379356)
祖父江 慶太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (90622027)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / 分子標的療法 / ヨードマップ / バイオマーカー / Dual-Energy CT |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Dual-Energy CTの組織物質弁別画像による血流・組織解析法を用いて肝細胞癌に対する分子標的薬の治療効果ならびに背景肝実質への影響を同時に評価することである。 前年度2019年度までと同様に、切除不能進行肝細胞癌に対してレンバチニブ投与予定の患者を対象にして、当院にて配備されているDual-Energy CT装置(Siemens社SOMATOM Force)を用いて治療前7日以内、治療後1ヶ月、2ヶ月後にダイナミック造影CTが施行できた患者を調査した。前年度までの集積患者19名に加えて、本年度では新たに15名の患者に対してプロトコルどおりの造影CT撮像を行うことができ、症例登録を行った。対象となる切除不能進行肝細胞患者の症例集積に関しては、2019年度の症例登録19名、2020年度の症例登録15名と減少している。この理由として、分子標的薬に加えて免疫療法が新たに切除不能進行肝細胞癌の治療法として保険承認となったためと考えられ、来年度においても症例登録のさらなる減少が見込まれる。 本年度の症例に対して解析は行えておらず、治療効果判定基準ごと(①mRECIST、②Choi criteria、③Dual-Energy CTのヨード定量画像を用いた血流評価)のレンバチニブ治療奏効率については詳細な評価を行うことができていないが、前年度2019年度までの結果を踏まえると、mRECISTと比較してChoi criteriaおよびDual-Energy CTのヨード定量画像を用いた血流評価では、肝細胞癌内の血流変化を鋭敏に捉えることができ、特にDual-Energy CTのヨード定量画像を用いた血流評価では血流を数値として測定できることで、治療効果の正確な評価ならびに予後予測に有用な指標となることが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 前年度までの研究計画は順調に実施できている。 また本年度の研究計画として、③レンバチニブ治療肝細胞患者におけるDual-Energy CTの臨床的有用性の検証、を挙げているが、実臨床患者において症例集積が進んでいるため、本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に引き続き,肝細胞癌に対する分子標的薬治療患者に対してDual-Energy CT撮影を行い症例の蓄積,解析を進める予定である。 目標予定症例数は80例であるが、2年間の集積症例数が34例であったことを踏まえると、予定数の達成が不能と考えられるが、中間解析において本研究の目的である、Dual-Energy CTから得られる組織物質弁別画像から分子標的薬の治療後変化を正確に評価できるかどうか、の検証を行うことは可能であり、2021年度も症例集積を続けながら結果解析を行う予定である。 一方、2020年12月より、進行肝細胞癌に対して新たな薬物療法である免疫療法が新たに保険承認となった。今後はレンバチニブなどの分子標的薬と免疫療法を選択する必要があるため、肝細胞癌の生物学的、画像的特徴と上記2治療法の反応性を比較する必要があるため、2021年度には肝細胞癌の切除病理検体の解析と画像との相関を調査することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品としてデュアルエナジー対応CT評価用ファントム(京都科学社製)を計上していたが、当院に予め配備されていたCT評価用ファントムによってヨード定量精度の検証を行いプロトコルを設定した。 今後、レンバチニブと新たな治療法である免疫療法の治療選択の可能性を調査するため、病理切除検体と画像との相関を調査する予定であり、病理組織学的な免疫染色やリンパ球浸潤を評価するための費用として計上予定である。
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