研究課題
本研究の目的は、Dual-Energy CTの組織物質弁別画像による血流・組織解析法を用いて肝細胞癌に対する分子標的薬の治療効果ならびに背景肝実質への影響を同時に評価することである。切除不能進行肝細胞癌に対してレンバチニブ投与予定の患者を対象にして、当院にて配備されているDual-Energy CT装置(Siemens社SOMATOM Force)を用いて治療前7日以内、治療後1ヶ月、2ヶ月後にダイナミック造影CTが施行できた患者を調査した。前年度までの集積患者39名の患者に対してプロトコルどおりの造影CT撮像を行うことができ、症例登録を行った。切除不能進行肝細胞患者に対する標準治療として、分子標的薬に加えて免疫療法が保険承認となったため、新規症例登録はゼロであった。集積された対象に対して、治療効果判定基準ごと(①mRECIST、②Choi criteria、③Dual-Energy CTのヨード定量画像を用いた血流評価)のレンバチニブ治療奏効率とProgression Free Survival(PFS)を比較したところ、治療前と治療2ヶ月後のヨード定量画像でのヨード値変化率が最もPFSの予測に有用であった。本解析ではヨード値を2次元的にのみ評価した結果であり、神戸大学において腫瘍内のヨード値を3次元的に解析可能なソフトウェア(Syngo via:MM Reading)が使用できるようになったため本ソフトウェアを用いた解析を追加しており、現在解析を行っている段階である。一方、装置特異性の高いDual-Energy CTでは汎用性が低いため、造影剤による造影効果を定量可能な他手法の利用を考慮し、CE-boost技術の有用性についても同時に検討を行っている。
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