研究課題/領域番号 |
19K08209
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
長尾 充展 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (60533081)
|
研究分担者 |
布田 伸一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20172744)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 心臓移植 / 移植後冠動脈病変 / MRI / 拡散強調画像 / PET / 心筋血流予備能 |
研究実績の概要 |
心臓MRIにて心臓移植後冠動脈病変を検出するための拡散強調画像の撮影条件を検討している。 1. 心臓の動きに対して正確な拡散強調画像を得るために新たにturbo spin-echo(TSE)を高速撮影技術として取り入れた。 2. さらに動き補正できるmotion correction(MC)技術を撮影シークエンスに追加した。 健常者10人よる実験結果:TSE-MC-拡散強調では、従来法に比べ画像ノイズの低減、視覚的画質向上、評価可能領域の増加を認め、画質の向上が認められた。この成果を国際学会、学術誌に発表予定である。 現在、心移植予定の重症心筋症や心臓腫瘍の症例において、TSE-MC-拡散強調像を撮影し、拡散強調像の得られた異常所見を他の画像所見と比較し臨床的意義を検討している。 移植後患者については、アンモニアPETによる心筋血流予備能を測定し、健常者や冠動脈疾患患者と比較している。比較的若年者が多い移植患者であるが、予後不良と言われている心筋血流予備能が2以下に低下している患者が38%(12/32)認められた。移植患者32人(平均年齢40歳)は、コントロール群30人(平均年齢50歳)に比べ有意に心筋血流予備能が低下していた(2.33 vs. 3.13)。この結果はアデノシンによる冠動脈拡張作用の反応性低下が、移植患者に多いことが原因と考えている。冠動脈の内皮機能障害や老化の進行が通常より早くなっている可能性があり、今後の経過を追跡予定である。この研究成果は、国際学会や学術誌で発表を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRI撮影条件の設定は、ほぼ完了した。 心移植後患者の登録、心筋PET検査による心筋血流予備能の収集は、順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度、移植後患者や移植予定の重症心不全患者に対して新たな拡散強調画像を含めたMRIを実施予定である。ただし、コロナ感染の蔓延により、免疫抑制状態の患者に検査を実施しずらい現状がある。コロナ感染終息を契機に、データ収集を直ちに進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
画像解析用のPCが不要であったため、予算を次年度に繰り越した。
|