研究課題/領域番号 |
19K08211
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
門前 一 近畿大学, 大学病院, 教授 (10611593)
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研究分担者 |
吉田 謙 関西医科大学, 医学部, 准教授 (10463291)
松本 賢治 近畿大学, 大学病院, 技術職員 (30742374)
土井 啓至 近畿大学, 医学部, 講師 (50529047)
田村 命 近畿大学, 医学部, 助教 (60810968)
花岡 宏平 近畿大学, 大学病院, 技師 (80772657)
秋山 広徳 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20448111)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 放射線遮蔽材 / 鉛フリー / 放射線防護 / タングステン |
研究実績の概要 |
加温(60℃)することで柔らかくなり、室温や体温では形状を維持できる、鉛フリーの放射線遮蔽材、リアルタイム可変型タングステン含有ゴム(STR)を開発した。電子線治療において、標的の形状に合わせ、周囲の正常組織に対する遮蔽材をSTRで作成 (STRコリメータ)、電子線治療用アプリケータに装着することで照射野を形成する方法と患者の皮膚の上に乗せることで照射野を形成する方法の臨床使用の可否を検討した。前者の方法では、低融点鉛を電子線治療用アプリケータに装着する従来法と同等の体内線量分布であった。後者では、従来法よりもSTRコリメータを皮膚上に設置することで辺縁部における線量をより急峻に低減でき、モンテカルロ計算を用いたシミュレーションによって安全性も確認した。また、実際の臨床において、耳介のケロイドに対し、STRコリメータを皮膚の上に設置した電子線治療を世界で初めて施行、再発や正常組織の有害事象が起きていないことを確認した。以上より、両者の方法で使用できることを示した。全身皮膚電子線療法における爪の防護材としても使用できることも示した。これらの成果は、英文誌2編、邦文誌2編に受理された。 タングステン機能紙(TFP)が、電子線治療におけるボーラス材として使用できることも示し、英文誌に報告を行った。また、STRもX線治療におけるボーラス材として使用できることを明らかにし、論文投稿中。さらにSTRの温度特性を利用して、STRからタングステンを取り除き、組織等価物質にしたリアルタイム可変型ソフトラバーボーラス(SRB)を開発、特許を申請し、論文投稿中。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度製品の開発から基礎的実験まで終了し、本年は委員会の承諾を得て実臨床(ケロイド電子線治療)で使用。その臨床で使用した詳細をまとめた論文が英文雑誌の掲載された。特許申請後、上市に至った。また、新たに開発したリアルタイム可変型ソフトラバーボーラスの特許も申請済。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きリアルタイム可変型タングステン含有ゴムやソフトラバーボーラスの医療へのポテンシャルを明らかにし、国内外の学会での発表や論文掲載に向けた研究、広報を積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため学会発表の機会(出張)が無くなった。論文作成・投稿や物品費として研究を進める予定。
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