研究課題
鉛フリーの放射線遮蔽材、リアルタイム可変型タングステン含有ゴム(STR)をX線治療における薄型ボーラスとして利用できるかを検討した。治療用のX線・電子線では、表面線量よりもある深さのところでの線量が最大となり、その後深部にいくに従い指数関数的に減衰するという特性がある。ボーラスは、この線量が最大となる深さを皮膚表面に調節するものである。従来のボーラスは、皮膚との密着性の悪さから皮膚面とボーラスとの間の大きな隙間が生じることがあり、皮膚表面への投与線量を増加しきれない問題があった。STRは加温により自由自在に成形できることから、皮膚との密着性を向上でき、1 mm厚で4.4 mm厚の水等価ボーラスと同等の効果を持つことを明らかにした。薄型であることを利用して、頭頸部癌に対するX線治療において、固定具内にも挿入できる。また、常温では形状を維持できることから、数ヶ月に及ぶ放射線治療にも対応可能。さらに、この温度特性を利用して、STRからタングステンを取り除き、水等価物質にしたリアルタイム可変型ソフトラバーボーラス(SRB)を開発、電子線及びX線治療におけるボーラスの効果を明らかにした。こちらの成果については、特許協力条約(PCT)に基づく国際出願も行った。放射線治療のみならず、Interventional Radiology (IVR)において、鉛フリーのタングステンゴムを用いて、従来の頭部のみではなく頬まで防護することで、術者の頭蓋内への被ばくを大幅に低減できることも明らかにした。これらの成果は、英文誌3編に受理された。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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