研究課題/領域番号 |
19K08212
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
羽根田 清文 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (30280192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 放射線影響 / DNA2本鎖損傷 / モンテカルロシミュレーション / 高精度光子線治療 / 粒子線治療 |
研究実績の概要 |
2019年度の研究は、当初の予定通り放射線治療に使用される1)粒子線および2)光子線照射により付与媒体にて発生する物理現象に関してモンテカルロシミュレーションにより基礎検討を実施した。 1)粒子線は、放射線治療にて使用されている放射線種(電子線(10 keV - 300 keV)、陽子線(400 keV - 50 MeV)および炭素線(5 MeV/u - 300 MeV/u))を用い、生物学的影響の原因となるDNAへの二本鎖損傷の発生割合を一本鎖損傷の発生割合と比較して求めた。PDBモデルを利用した付与媒体の構造変化、および二本鎖損傷の発生定義を変化することによる同一放射線種における発生割合の変化に関しても併せて検討を行った。放射線種の違いによる影響は、おおむねこれまでの研究成果と一致したが、高LET放射線種である炭素線に関しては、一部不一致も認められた。また、損傷の発生環境を付与構造の変化による検討した所、同一放射線種、同一エネルギーであっても異なる結果が得られた。 2)光子線に関しては、従来の放射線治療装置による線質(FF形)と高精度放射線治療装置による線質(FFF形)とを比較した。FFF形モデルでは、エネルギースペクトルおよび付与線量率の変化などが顕著に確認することが出来た。但し、エネルギースペクトルに関しては照射面積による変化が認められた。 基礎検討により、従来の生物学的知見を裏付ける内容および生物学的知見とは異なる結果のいずれも得られた。現在、異なる結果が得られた原因を解明するために、基礎検討を行ったモデルの変更を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の前段階として、陽子線治療を再現したモデルによる生物学的影響に関する粒子線治療モデルおよび従来型X線治療を再現した光子線治療モデルを構築、検討していたため本研究に対するモンテカルロシミュレーショによる検討は比較的順調に進展することが可能となった。 一方、2020年以降急速に拡散している新型コロナウイルスによる影響により、研究成果発表および他研究者との討論への制限が入り、研究成果に関する意見交換等による研究成果の検証および今後の展開が現在実施出来ていない。また、本状態は今後もしばらく継続すると考えられるので、研究成果の検証、展開法に関して、他施設および研究者との協力を少なくした異なるアプローチ法を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
炭素線に関するでは現在核破砕による2次放射線による影響を考慮していないので、発展モデルとして、核破砕による生じた2次放射線による影響を考慮したモデルとして研究をする予定である。 光子線に関する研究では、従来型と異なる物理線量の変化と現時点にて観察されている生物学的影響(早期障害)との関連性の確認および現時点では観察されていない後期障害の可能性の検討を実施する予定である。 放射線照射による付与媒体の構造の変更におけるDNA損傷発生割合の変化は細胞照射時期および細胞種の違いによる生物学的効果との関連が考えられるため、実際の放射線治療環境および治療患者との関連性を考慮しながら検討する予定である。 現在までの進捗状況でも記載したが、新型コロナウイルスによる各種自粛、制限により研究活動の制限が予測される。 現時点では、1)自粛・制限が解除された際、速やかに研究活動を実施できるように、従来の計画通りの内容(シミュレーション結果と細胞実験結果との比較・検証)を可能な範囲にて継続する。2)影響が長期におよび当初の計画実施が困難な場合を想定し、単独にて研究遂行可能であるモンテカルロシミュレーションモデルの物理学的精度向上および放射線化学、生物への連続的展開を考慮したモデルの検討を行う。について実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コンピュータシミュレーション速度向上用に購入予定であったソフトウエア(コンパイラ)の発売が遅れ、2019年度内に購入不可となった。 新型コロナウイルスにより3月にウィーン(オーストリア)にて開催される学会(ECR2020)に参加・研究成果発表予定であったが延期となったため、国際学会関連支出がなされなかった。 上記発表後に、国内治療施設において国内治療状況の視察および研究打合せを実施する予定であったが、こちらも中止となった。 状況が改善すれば可能な限り早急に上記を実施する予定であるが、困難な場合には、単独にて実施可能なモンテカルロシミュレーションの研究進展を勧める為の支出に変更する予定である。
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