研究課題/領域番号 |
19K08213
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
富安 もよこ 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主幹研究員(任非) (10443079)
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研究分担者 |
相田 典子 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (20586292)
寺田 康彦 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20400640)
川口 拓之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (60510394)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | in vivo proton MRS / 脳内代謝物濃度 / 定量化 / 小児 / 自動診断解析システム |
研究実績の概要 |
本研究は、1H MRスペクトロスコピー(以下MRSと略す)による小児脳内代謝物濃度の自診断解析システムの開発を目的としている。研究の概要は、これまで 3T MR装置にて得られた臨床小児MRSデータ(約4,000症例, 2008年4月~2018年9月)から、健常脳内代謝物濃度データベース(週齢・月齢・年齢別)を作成し、疾患MRSデータの定量解析時にデータベースとの比較により代謝物濃度の正常/異常が表示される解析システムを開発する、定量解析ソフトウエアに代謝物・薬剤情報が登録されておらずノイズまたは誤判断されている代謝物・薬剤について、NMR装置により化学シフト値およびJ結合定数を得て、定量解析を可能とする、さらにこの解析システムを用いてMRSデータを再解析し、追加代謝物・薬剤の定量値を得て、様々な疾患との関連性を解明することである。 H31年度(1年目)はほぼ計画通りに進んだ。研究の進捗状況を以下に述べる。なお、研究分担者・連携研究者との連絡や交流は頻繁に行っている。 (1)代謝物濃度データベースの作成については、臨床小児MRSデータ(約4600症例)の患児について、MRSデータ撮像時の臨床症状や画像所見、フォローアップ時症状などのリストを作成し、健常MRSデータを選択中である。また、健常小児ボランティアの脳MR検査によるMRSデータ収集も2回行った。(2)追加代謝物測定・モデルピークの作成については、代謝物や薬剤の複数の水溶液サンプル(アセトン、β-ヒドロキシ酪酸など)をNMR装置により、化学シフト値やJ結合定数を得ることができ、それらの値からモデルピークを作成、in vivoデータにうまくフィッティングができたことを確認した。来年度から開始予定の(3)小児脳内代謝物濃度の自動診断解析システムの開発も取り組み始めた。また、中間発表として学会発表も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルピーク作成のための、サンプル水溶液(pH7.0)のNMR測定(37℃)について、測定当初はNMR装置の温度設定装置による温度が安定しないことが多く測定が困難であった。そのため、確実な温度でサンプル測定ができるまでに予定外の時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
小児正常脳内代謝物濃度データベースの作成、およびモデルピーク作成は引き続き行っていく。今後は、上記2つのデータを組み込んだ代謝物濃度自動診断解析システムの開発・評価に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)膨大な量(臨床4000症例)のデータ整理・解析補助のために実験補助の方の人件費を予定していたが、研究分担者と協力してプログラムを作成、データ整理・解析をある程度は自動化することができたため、人件費にかかる費用を少なくすることができた。 また、NMR装置による実験では、測定試料を予定よりも安価に購入することができた。 (使用計画)次年度使用額は140万円程度になる。計画としては、NMR実験にかかる費用30万円、国内および国際学会発表(1名)50万円、データ解析補助の人件費(1名)10万円、英語論文校正費10万円、論文オープンアクセス料30万円、共同研究施設などへの交通費10万円を予定している。
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