研究課題
本研究は、1H MRスペクトロスコピー(以下MRSと略す)による小児脳内代謝物濃度の自診断解析システムの開発を目的としている。研究の概要は、I)これまで3TMR装置にて得られた臨床小児MRSデータ(約4,600症例, 2008年4月~)から、健常脳内代謝物濃度データベース(週齢・月齢・年齢別)を作成し、疾患MRSデータの定量解析時にデータベースとの比較による代謝物濃度の正常/異常が表示される解析システム開発、II)使用している定量解析ソフトウエアがこれまで解析対象としていない代謝物・薬剤の情報(NMR実験による化学シフト値およびJ結合定数の収集)を組み込み、より正確な定量解析を可能とする、III)その定量解析ソフトウエアによるMRSデータ再解析から得られた追加代謝物・薬剤の定量値を含む代謝物の値から様々な疾患との関連性を解明することである。(1)代謝物濃度データベースの作成については、臨床小児MRSデータ(約4600症例)の患児から、健常MRSデータを選択した(新生児257,小児43, 小児以降32MRSデータ)。健常小児ボランティアの脳MR撮像によるMRSデータ収集は最終的に(小児23, 小児以降103MRSデータ)となった。(2)追加代謝物測定・モデルピークの作成については、代謝物の水溶液サンプル(マンニトールなど)の化学シフトのpHや温度依存性などについてもNMR装置により調べ、モデルピーク作成の情報とした。(3)小児脳内代謝物濃度の自動診断解析システムのMatlabを用いた開発もシステムも作成できた。(4)臨床MRSデータ再解析は、新生児約1000名分のMRS3000データを再解析しケトン体ピークの定量化結果の報告を行った。日々の臨床データ解析でも必要時にモデルピークを組み込んだデータ解析を行っている。また、本研究に関する学会発表、論文発表も行うことができた。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Journal of Magnetic Resonance Imaging
巻: 57 ページ: 845-853
10.1002/jmri.28345