研究課題/領域番号 |
19K08217
|
研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
松島 秀 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学分野, 研究員 (70444297)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | バイオマーカー / 血管内皮細胞増殖因子 / MR Oncology Imaging / 磁化移動効果 / 治療効果予測 / スーパーレスポンダー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、臨床用MRI装置を用い、分子イメージング手法を基礎とした「細胞密度イメージング」と「肝細胞特異性造影剤の造影率イメージング」を応用することにより、 腫瘍の血管内皮細胞増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor; VEGF) および腫瘍が発現するトランスポーターをバイオマーカーとしたMR Oncology Imagingを開発し、分子標的薬におけるスーパーレスポンダーの検出と治療効果予測を可能にすることである。 本年度は1mgのVEGF165 Human水溶液を使用し、ECRIによりVEGFの可視化を試みた。装置は3T MRIを使用し、撮像シーケンスは3.6μTeslaのオフレゾナンス飽和パルス(MTパルス)を付加した spoiled-gradient recalled acquisition in the steady stateを用いた。ECRIにおける磁化移動効果を誘起するために用いられるMTパルスのオフセットは、水の共鳴周波数を中心として±10ppmの範囲を0.5ppm間隔に設定した。ECR値は(1)式のように定義し、ECR値を算出・画像化(ECRI)した。 ECR値(%) = 100 ( Mo / Ms - 1 )…(1)(但し、Ms、Moはオフレゾナンス飽和パルスの有無による同一計測部位における信号強度である)。 1mg/mlのVEGF水溶液におけるECR値は、VEGF試薬のイミノプロトンの共鳴周波数に相当する7ppm付近にピークが観測され、ECRIを用いることによりVEGFを可視化することが可能であった。生体におけるVEGFはレセプターと結合した状態として存在すると考えられ、VEGF含有ハイドロゲルを用いた基礎的研究が必要であると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた基礎実験を実施した結果、VEGFを可視化することが可能であった。本年度の研究では先行研究よりも高濃度の試薬濃度を用いたが、ECR値は同程度であった。この結果は水溶液の状態では濃度依存性が低いことを示唆し、より磁化移動効果が大きいゲル状態におけるVEGFの検出が望ましいと考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度も基礎研究を主体とし、VEGFの検出を目的としてECRIを用いた研究を継続するとともに、CEST(Chemical exchange saturation transfer)による研究に着手する。 基礎研究により開発されたECRIの臨床応用を開始してデータ臨床データを蓄積する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスが蔓延したため欧州放射線学会が7月に延期になった。欧州放射線学会が再開催されれば学会の参加費用として使用する。
|