これまでの収集データに基づいて当院における前立腺癌手術での全摘症例を対象にして、画像での解析と病理学的所見の関係性を中心に解析、検討を進めた。画像と病理の対比が上手く行えるものについては、組織学的悪性度(GS)、病理プレパラートに置ける該当病変の上皮成分、間質成分、管腔と画像所見(PI-RADSv2.1)との対比を行い、更なるテクスチャ解析を進めた。GS6-10の病変をbinaryにすると画像でのPIRADSスコアで、GS6-8群とGS9-10群の2群の良好な分別が可能であった。テクスチャ解析においてはPIRADSスコアのみに比べて、多くの変数においてGSの二値化を可能とした。またモデル作成のために特徴量抽出、様々な分類モデルによる分類能の比較を行い、random forest、light GBMが良好な分類モデルであった。画像と病理の一致が困難な症例もあったことから、前立腺全体の画像から癌の有無、また悪性度の評価が可能かの検討をさらに行った。前立腺全体のセグメントデータから癌の有無、また悪性度の評価を行った。whole prostateのテクスチャデータのみからでは癌の有無の分類においては十分な成績は得られなかったが、悪性度の高い癌(GS8以上)かつサイズの大きな癌(15mm以上)に絞ることで癌の存在の予測が可能であった。しかしこれらのデータではどの部分に癌があるのか、テクスチャ解析での指摘がこの癌部のデータを元にして行われたものなのかどうかは不明であり今後の課題であると思われた。しかしwhole prostateのテクスチャデータはほぼ自動化で抽出することができるものであり、実臨床における実現可能性を示唆するもであった。
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