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2020 年度 実施状況報告書

細胞外マトリックス(テネイシンC)による放射線肺障害の病態解明とその臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K08226
研究機関三重大学

研究代表者

高田 彰憲  三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80727066)

研究分担者 野本 由人  三重大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (10252363)
俵 功  三重大学, 医学系研究科, 教授 (80378380)
吉田 恭子 (今中恭子)  三重大学, 医学系研究科, 教授 (00242967)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード放射線肺臓炎 / 肺線維症 / テネイシンC
研究実績の概要

鉛ブロックを用いてマウス肺部分照射用のデバイスを作成し、週齢12週のBALB/cマウスの右上肺局所に30Gy/1frの照射を行った。照射後のマウスは、①同一個体で経時的な肺CT撮影を行う群(n=2)、②経時的にCT撮影と肺病理標本の所見を比較する群(n=3)、の2群に分けた。結果1:同一個体で経時的な肺CT撮影を行った群では放射線照射後16週まではCTで明らかな変化は認めなかったが、20週で照射部に一致した右肺に局所的なすりガラス影が出現し放射線肺臓炎を認めた。24週、27週で肺臓炎の範囲が拡大し濃度も上昇し、32週では同部位の収縮性変化を認め肺線維症がみられた。結果2:同一個体で経時的な肺CT撮影を行った群放射線照射後12週、16週、20週、24週、28週、36週、44週でCT撮影と肺組織切片の作成を行った。

CT, 病理所見とも20週から放射線肺臓炎の所見が出現し、その後線維症に移行し36週ではすべてのマウスで線維症の所見となった。放射線肺臓炎が出現する20週で血管周囲にコラーゲン沈着を認め、その後破壊された肺胞構造に線維化が広がった。TNCは放射線肺臓炎が出現するより前の16週から発現を認め、20週で発現が最大となりその後低下した。左肺の病理組織切片では上記のような変化は認めず、正常な肺構造が保たれていた。本研究ではマウス肺部分照射用のデバイスを作成しCT画像、肺組織切片で照射した右肺に限局した放射線肺臓炎/肺線維症の所見を確認し、肺部分照射による放射線肺臓炎/肺線維症モデルマウスの構築に成功した。放射線肺臓炎初期から血管周囲のコラーゲン沈着が始まり肺線維症の進行とともに、コラーゲン沈着の範囲が肺胞構造にも拡大していた。TNCは放射線肺臓炎が出現するより前に発現が上昇しており、放射線肺臓炎の発症予測マーカーとして利用できる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID19の影響によって、急を要しない実験を進めるのが困難な状況となり、マウスの実験の継続が一時困難となった。

今後の研究の推進方策

現在取得したデータより経時的なマウスの放射線肺臓炎モデルの作成が可能となった。また肺臓炎・肺線維症発生の予後予測、重症化予測因子として細胞外マトリックスであるテネイシンCをさらに研究する予定である。テネイシンC発現がどの細胞からであるのか、テネイシンCノックアウトマウスに対して放射線照射を行う事で野生型との差が生じるのかなどについてさらに調べる。また、同様の方法で心臓など、他の臓器障害について応用できないかなども検討していく。

次年度使用額が生じた理由

(理由)実験を進める事が困難な状況が続き、マウスの購入や試薬の購入分の費用がかからなかった。また国際学会への参加を控えた為。

(使用計画)テネイシンノックアウトマウスを使用した実験を再開・実施する。またその結果をもとに放射線肺臓炎・肺線維症の予後因子になるかの判断をする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 肺部分照射による放射線肺臓炎・肺線維症モデルマウスの構築2020

    • 著者名/発表者名
      大森千輝、高田彰憲、野本由人、豊増泰、俵 功、新徳千広、加藤大裕、吉田利通、今中恭子
    • 学会等名
      日本放射線腫瘍学会

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公開日: 2021-12-27  

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