機械学習法を用いて、精度の高い臨床応用が容易な放射線治療による腫瘍免疫活性化の予測モデルを作成することであるが、前段階として生検標本を使用した免疫組織染色による放射線治療効果予測モデルを作成した。 機械学習法を用いた放射線治療の効果予測のために、前立腺がんの臨床因子と免疫組織染色に基づくKu70の発現を利用して放射線療法の結果を予測するためのモデルを開発した。2007年8月から2010年10月までに強度変調放射線療法(IMRT)を受けた前立腺癌の限局性腺癌患者58人、および2001年8月から2007年5月までに3次元原体放射線療法(3D-CRT)で治療された患者21人を分析した。人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いて従来法と比較しての予測精度の向上を目指した。結果、ANNは、生化学的再発を予測するための正診率は83.1%であった。生化学的再発を予測する感度と特異度は、ANNでそれぞれ86.8%と75.0%であった。 同様に下咽頭がんの臨床因子と免疫組織染色に基づくKu70の発現を利用して放射線療法の結果を予測するためのモデルを開発し、2002年3月から2009年12月までに放射線治療を受けた下咽頭癌患者46人を分析した。結果、ANNは、生化学的再発を予測するための正診率は82.6%であった。生化学的再発を予測する感度と特異度は、ANNでそれぞれ66.7%と88.2%であった。 前立腺がん、下咽頭がんともに、従来法と比較してのANNを用いた解析では予測精度の向上を実現した。 さらに免疫組織染色の判定にQuPathソフトウェアを用いて分類して定量化を行い、手動計数の結果と比較して有意な差がないことを検証している。
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