研究課題/領域番号 |
19K08232
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
歳藤 利行 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30377965)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 陽子線治療 / スキャニング照射 / 膵癌 |
研究実績の概要 |
本研究では陽子線による膵癌の治療成績向上を目指して、将来の寡分割照射への展開も視野に入れ、4次元CT画像を使った呼吸性移動に対してロバストな(呼吸性移動の影響を受けにくい)強度変調陽子線治療(IMPT)の治療計画の最適化アルゴリズムとして4次元ワースト・ケース・シナリオ・アルゴリズムを開発する。 IMPTの治療計画における最適化は数理工学における最適化問題に帰着できるが、呼吸性移動に対してロバストな最適化アルゴリズムを開発し、それを膵癌の治療計画に用いることで、粒子線を用いた膵癌の治療ではどこまで線量集中性を高め、治療成績の向上が見込めるかが本研究で問おうとする課題である。 2019年度は名古屋陽子線治療センターにおける過去6年間の治療計画データを集計し、本研究で必要となる計算機の仕様を決定、計算機環境を構築した。水ファントム中の最適化アルゴリズムとして、準ニュートン法であるBFGS法を採用し、C++言語によるコンピュータプログラムとして実装した。初期バージョンとしては単門かつターゲット線量の制約のみ設定可能であったが、その後、強度変調陽子線治療を想定した多門照射に対応、さらには複数の領域に対する異なる線量設定にも対応、というように逐次機能追加を行った。プログラムの性能は水ファントムを模擬した数値ファントムデータを用いて検証した。 開発したプログラムは目的とする機能を備え、計算時間に関しても商用の治療計画装置と同等の性能を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経験のない最適化アルゴリズムの実装が懸念されたが、先行研究文献などを参考にして解決し、ほぼ予定通りの進捗があったから。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主題である4次元ワースト・ケース・シナリオに対応した最適化アルゴリズムの開発と実装を行う。さらにリスク臓器への線量制約機能を追加する。 並行して、名古屋陽子線治療センターにおける膵癌の治療データを用いた治療の評価をすすめ、それを元に、本研究で開発するアルゴリズムの性能検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
計算機の性能向上に伴い、必要とする性能の計算機の購入費用を下げることができたから。成果発表および情報収集のための旅費と数値解析用ソフトウェアの購入のために使用する予定。
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