研究課題/領域番号 |
19K08233
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
赤澤 健太郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50547784)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 低出生体重児 / 発達予測 / 画像バイオマーカー / 拡散尖度画像 |
研究実績の概要 |
低出生体重児において、早期介入の必要性の高い児を同定するための画像バイオマーカーの候補として、脳の微細構造の変化の検出に着目した。微細構造のパラメータとして拡散強調像から得られるみかけの拡散係数とともに、拡散テンソル画像から得られるfractional anisotropy値、axial diffusivity、radial diffusivityのほか、拡散尖度画像(diffusion kurtosis imaging)から得られるmean kurtosisなどでの検討を予定している。 また評価法のひとつとして、アトラスベースの検討を行う。これは全脳を160に及ぶ脳の解剖学的構造単位で評価する方法である。当初はJohns Hopkins 大学のチームより提案された”MRICloud”と呼ばれるツールを用いた準備を行った。これはCloud型のサービスであり、画像の匿名化や処理速度の問題があった。同じツールがローカルのコンピュータで使用できるよう開発されたため、施設内で解析をできるようにすべくセットアップに着手した。 ソフトウェアMVisionはLinuxベースで開発されているため、オペレーションシステムがLinuxのパソコンをまず準備した。さらに当施設の環境でソフトウェアが動作するよう、開発者とミーティングを繰り返し行いながら、エラーをひとつずつ解決しセットアップを行っている。 さらに上記に先立ち、3D T1強調像から300程度の脳の解剖学的構造単位のアトラスを作成する手法のセットアップを行った。これにより、各解剖学的構造単位の体積計測も行える環境となった。 低出生体重で生まれた児において修正40週の時点で脳MRIの撮像を継続している。現在18症例のデータを取得している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成31(令和元)年度より、低出生体重児の修正40週におけるDiffusion Kurtosis Imaging(DKI:拡散尖度画像)を撮像していく予定であった。しかしながら、本学附属病院の周産期NICUの病棟改修工事に加え、COVID-19のパンデミックにより、第一種感染症指定病院である当施設は、新型コロナウイルス感染患者の受け入れのため、NICUの稼働制限もあり、症例数の蓄積が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
拡散テンソル画像(Diffusion tensor imaging)は、Diffusion kurtosis imagingとして撮像しており、mean kurtosisなどの各種パラメータの算出を行う。さらに施設内にてMVisionでの解析方法を確立し、各アトラスにおける各パラメータの値の算出を行う。 周産期診療部の医師とは良好な研究協力体制を確立しており、定期的なミーティングを行い、円滑に研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延により、予定されていた海外学会がオンライン開催となり、旅費が発生しなかったため、次年度使用額が生じることとなった。 新型コロナウイルスの感染対策が取られるようになり、現地開催の学会も増えてきている。このため、最新の情報収集や今後得られた成果を国際学会などで発表するための旅費に使用する予定である。また学会や研究会がハイブリッド形式での開催方式を採用するようになってきており、オンラインでの学会参加の機会も増えている。このためオンラインで参加・発表するためのシステムのセットアップにも使用予定である。
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備考 |
赤澤健太郎,中井 義知,山田 惠、治療に活かす急性期脳梗塞の画像診断 京府医大誌 2021.130,787~793
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