研究課題/領域番号 |
19K08240
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
山崎 友照 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員 (80627563)
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研究分担者 |
森 若菜 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 研究員(任常) (30835442)
藤永 雅之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員(定常) (70623726)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PET / AMPA受容体 / AMPA受容体調節性タンパクγ―8 / 11C / Binding potential / エンドカンナビノイド |
研究実績の概要 |
近年,グルタミン酸の神経毒性は,神経変性疾患の病態と深い関連性が示唆されている。本研究では,グルタミン酸受容体とエンドカンナビノイシステム(eCS)の分子間相互作用をPETイメージングにより明らかにすることを目的とした。 最終年度では,TARP-g8に選択的な新規PETプローブである[11C]TARP-2105の非侵襲的な定量法の検証を行った。はじめに,TARP-g8の発現量が少ない小脳,橋,視床を参照領域とし,それぞれ結合能(Binding potential: BP)を算出し,前年度に行った採血法により得られたBP値と比較した。その結果,小脳が最もバラつきが少なく,血漿の入力関数を用いたBP値と高い相関を示した(r = 0.97)。次に,非侵襲的解析法であるSRTM, MRTM,Logan’s Reference Tissue Model (Logan Ref), 及びRatio method (RM)を用いてBPを推定し,その値の推定精度及び再現性を比較検討した。その結果、最もバラつきが少なかった解析法は,簡便な線形回帰であるLogan Ref法で,最も高い再現性を示した解析法は,非線形回帰であるSRTM法であった。しかしながら,これらのモデルでは,BP値が25%程度過小評価される傾向を示した。対照的に,準定量法であるRMは,殆ど過小評価を受けず(<10%),比較的高い再現性(%variability = 10%)を示した。更に,RM法を用いて作成したTARP-g8の脳内マッピング画像は,SRTMを用いて作成したものよりも明瞭であった。 本研究期間全体を通じて,グルタミン酸受容体やeCSの分子間相互作用を明らかにするためのPETイメージング研究に資する有用なPETリガンドの開発と非侵襲的な簡便な定量法を確立した。
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