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2021 年度 実施状況報告書

脳内のチオシアン酸イオン排出速度の非侵襲的定量測定法の開発とその排出機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K08241
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

岡村 敏充  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員 (80443068)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードPET / チオシアン酸イオン / 排出システム
研究実績の概要

脳内のチオシアン酸イオン(SCN-)の排出速度を非侵襲的に測定することが可能となれば、SCN-の中毒性の評価に大きく貢献することが期待される。SCN-排出速度の非侵襲的定量測定のため、前年度までに候補化合物の標識合成を行い、設計した6-[11C]thiocyanatopurine誘導体([11C]TP)が脳ホモジネート中においてグルタチオンと速やかに反応し、[11C]SCN-を遊離するという望ましい性質を有することを確認した。今年度は、[11C]TPについて脳内に[11C]SCN-を送達できるかどうかの検討と脳内動態の評価を行った。[11C]TPはマウスに静脈内投与後、血液脳関門を通過して容易に脳内に移行した。正常マウスでは11C由来の脳内放射能は速やかに減少したのに対して、SCN-輸送阻害剤を前投与したマウスではその放射能は緩やかに減少した。また、脳内化学形の分析結果より、両マウスともに投与後5分で未変化体は消失し、脳内放射能は[11C]SCN-として存在していることが明らかとなった。一方、[11C]SCN-の血液から脳への移行性は低値を示した。これらのことから、投与5分以降の脳内放射能の減少は[11C]SCN-の排出と考えられるので、その脳内動態から[11C]SCN-の排出速度を推定した。その結果、正常マウスでの[11C]SCN-の排出速度と比較して、SCN-輸送阻害剤を前投与したマウスでは排出速度の有意な低下が認められた。以上、[11C]TPは測定原理に従った動態を示し、[11C]TPによる脳内のSCN-排出速度の非侵襲的定量評価の可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究では、6-[11C]thiocyanatopurine誘導体([11C]TP)による[11C]SCN-の脳への送達および脳内動態の評価を行った。[11C]TPはマウスに静脈内投与後、血液脳関門を通過して容易に脳内に移行し、グルタチオンとの反応により[11C]SCN-を遊離することが確認された。正常マウスでは、遊離された[11C]SCN-は速やかに脳から排出されたのに対して、SCN-輸送阻害剤を前投与したマウスでは[11C]SCN-排出速度の有意な低下が認められた。このように、候補化合物[11C]TPはSCN-排出速度の非侵襲的定量評価のための望ましい性質を有することが明らかとなったので、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

2021年度は、本研究はおおむね計画通りに進み、候補化合物の6-[11C]thiocyanatopurine誘導体([11C]TP)は脳内に効率よく[11C]SCN-を送達でき、脳内動態から算出した[11C]SCN-の排出速度はSCN-輸送阻害剤により有意に低下することが確認された。今後は排出速度に対する阻害剤の投与量依存性の影響を評価するとともに、遺伝子欠損マウスおよび[11C]TPを用いて、脳内のSCN-排出に関与するトランスポータとその排出メカニズムを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響により、2021年度の出張予定の変更や参加予定の国際学会に出席できなかったことから、次年度使用額が生じた。
次年度は、追加実験のための物品費および学会発表、英文校正や論文投稿などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] チオシアネート排出系を定量評価するためのPETトレーサの開発2021

    • 著者名/発表者名
      岡村敏充、岡田真希、脇坂秀克、菊池達矢、張明栄
    • 学会等名
      第61回日本核医学会学術総会

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公開日: 2022-12-28  

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