研究実績の概要 |
本研究では、当院で開発した高感度PCR法を使用して以下のことを計画していた。①早産児の出生時に採取した羊水から原因菌を同定し菌量を定量化する。結果:早産児ではウレアプラズマ・マイコプラズマが最も原因菌として多かった。菌量多くなることに比例して、臍帯血IL-6,児血WBC、CRPが増加した。脳室内出血、敗血症、RDSなどの発症率と菌量との間に相関はなかった。菌量が多いと組織学的絨毛膜羊膜炎と臍帯炎が高率であった。 ②羊水中の原因菌の種類と菌量に対するCLD発症の相関を調べて、CLD発症に関与している細菌を同定し、菌量との関係も検証する。結果:菌量とCLDとはまったく相関関係を認めなかった。また、ウレアプラズマ・マイコプラズマとCLDとの関係も無かった。特にウレアプラズマ・マイコプラズマは他の菌と混合感染したいたため、この菌自体による炎症なのか重複感染による炎症が増強しているのかを判断することが難しかった。ウレアプラズマ・マイコプラズマ感染群では好中球が多かったので、好中球増加がCLDへの進行に寄与している可能性が示唆された。海外の報告でも好中球とCLDとの相関について言及されており、CLD予防には好中球増加に対する対策(例えば透析によるWBC除去など)が有効かもしれない。③CLD発症に関与している原因菌に対して抗菌薬投与を行い、CLD予防効果を検証する。②の結果でウレアプラズマ・マイコプラズマとCLDとの関係が証明できなかったため、本研究は実行していない。
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